今年で5回目を迎える
JBC2歳優駿。昨年覇者の
フォーエバーヤングはその後、サウジダービーとUAEダービーを制し、
ケンタッキーダービーで僅差の3着に入るなど、このレースから活躍馬が登場している。
そのレースで最多の2勝を挙げるのが
石川倭騎手。2020年
ラッキードリームと22年
ゴライコウで勝ち、地元リーディングもトップを走る(2024年10月11日時点)。
「
JBC2歳優駿当日はたくさんのお客さんが入っていただけて、特別な感じがします。
JBC2歳優駿を勝った時は反響もすごく大きくて、関係者も注目する価値あるレースだと思います。昨年覇者の
フォーエバーヤングは海外であれだけいい走りを見せてくれて、『門別から羽ばたいた』という風になりますし、レースレベルが上がることは嬉しいですね」
特別な盛り上がりを見せるJBCを地元関係者も楽しみにしている。では、舞台となる
門別競馬場はどんな特徴のあるコースなのだろうか。
「直線が長くてコーナーもゆったりしているので、スピードに乗ったまま直線に入ることができます。なので、他の小回りの
地方競馬場に比べると差しが決まりやすいです。3〜4コーナーは外を回る距離ロスよりも馬の特徴に気をつけて進路選びをしています。2歳馬はキャリアが浅くて砂を被るのを嫌がる馬もいるので、外に出さざるを得ないですね」
ゴライコウで勝った22年
JBC2歳優駿がまさにそんな競馬だった。向正面でペースが落ち着いた瞬間に外に出してポジションをアップ。「砂を被っている間はあまり前に進まなかったので、距離をロスしてもいいので外から強気のレースをしよう、と思いました」
地元馬での勝利を飾った
ラッキードリームもそう。「1〜2コーナーはキック
バックを嫌がっていました」と後方に位置取りを下げたが、それでも勝てたのには2歳戦ならではの理由があった。
「あのレースは全体的にペースが流れていて展開もハマりました。2歳戦では砂を被りたくない馬が多いとペースが速くなるんです」
メンバー次第でペースは大きく変わりそうだ。ただ、基本的に
JBC2歳優駿のコースは「最初のコーナーまで距離があって先行争いも激しくないので、わりとペースは落ち着きやすいのかなと思います」という。
ちなみに、
地方競馬に詳しいファン向けの余談。石川騎手は過去3回、佐賀競馬で期間限定騎乗を行い、毎回リーディング上位に入る勝ち星を挙げているのだが、門別と佐賀の違いをこう話す。
「同じ1800mだと佐賀の方がペースは落ちる印象があります。先行争いは激しいんですけど、勝負所の2周目向正面に入るまではしっかりとペースが落ちて、緩急が激しいですね」
さらにもう一つ、石川騎手は馬格も一つの
ファクターになると言う。
門別競馬場では昨春から
オーストラリア産の砂に変わったのだが、「馬体重の軽い馬の活躍が目立つようになりました」と石川騎手の印象。同じ砂を昨秋から導入した
大井競馬場では砂厚を8cmから10cmに深くしたこともあってか、スピードが削がれ
パワータイプの馬の台頭も見られたが、どうやら門別は異なるようだ。
そこで、現在の砂に替わった23年以降とそれ以前とで比較してみると、500kg後半の馬は勝率、連対率、3着内率すべてで10%以上の低下。500kg前半の馬もすべての項目で2%以上数値を下げている。データ面からは「大型馬が苦戦」と言え、それが石川騎手の「馬体重の軽い馬の活躍」という感覚に繋がったのだろう。
最後にこう締めくくった。
「門別はコースに癖がないので、実力ある馬がしっかり能力を発揮しやすいと思います。2歳馬はレース経験が少ない分ムラはあると思いますけど、基本的には持ちタイムは信用していいかなと思います。ぜひ
JBC2歳優駿や門別のレースを楽しんでいただけたらと思います」
(文・大恵陽子)