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【地方競馬】ベストメンバーが集結したジャパンダートクラシック JBCでは地方馬の奮闘に期待

  • 2024年10月28日(月) 18時00分
 ダート三冠の最終章・ジャパンダートクラシックJpnIは、フォーエバーヤングの強さが際立った。スタート直後に躓いたが、逃げるカシマエスパーダと外枠から先行するサンライズジパングの間をこじ開けるように、坂井瑠星騎手は2番手を死守した。砂を被った経験はあるものの、1番枠で揉まれる不安と砂を被って位置を下げることを恐れ、早い段階から進路を確保したかったものと推測される。

 昨年のJBC2歳優駿JpnIIIでは鮮やかに差し切ったが、全日本2歳優駿JpnIでは初のマイル戦で楽々先行し、直線はまさに独壇場。あらゆる勝ちっぷりに衝撃を受けた。目の前で圧巻のパフォーマンスを見せてくれたフォーエバーヤングが、ダートの本場であるアメリカのケンタッキーダービーG1で大激戦を繰り広げたことは、ファンはもちろん、日本のホースマンに勇気と感動を与えた。

 ジャパンダートクラシックJpnIの盛り上がりは、フォーエバーヤングが早々と参戦することが伝えられたこととともに、東京ダービーJpnIを制したラムジェットレパードステークスGIIIで重賞初制覇を飾ったミッキーファイト不来方賞JpnIIを優勝したサンライズジパングなど、ダート三冠路線を歩む馬たちが集結したことが、ファンの関心を高めた。

 そして、地方所属馬としてメンバー中唯一のダートグレードホルダーであるサントノーレが、戸塚記念で復帰戦を飾り、地方代表として期待を集めた。また、東京ダービーJpnIで地方最先着を果たしたシンメデージーと、不来方賞JpnIIで4着に健闘したフジユージーン、昨年のJBC2歳優駿JpnIIIで3着に追い込んだブラックバトラーなど、ダートグレード競走で入着した遠方の地方所属馬が出走したことも、真のダート世代チャンピオンを決めるに相応しいメンバーとなった。その中で、東京ダービーJpnIに続き、ジャパンダートクラシックJpnIでもシンメデージーが地方最先着となったことは、来年以降のダート三冠に向け、南関東以外の地方馬も出走意欲を持つきっかけになっただろう。

 地方競馬を舞台とするレースは、JBC競走であってもファンの認知度はあまり高くない。だからこそ、2018年にJRA京都競馬場でJBC競走を行った意義は大きい。また2020年には、北海道2歳優駿JpnIIIがJBC2歳優駿JpnIIIとなり、JBC競走に2歳カテゴリーが加わった。昨年のJBC2歳優駿JpnIIIがフォーエバーヤングサンライズジパングによるワンツー決着だったことで、2頭のその後の活躍を考えると出世レースとしてファンに認知されることを期待できる。

 JRAのレースしか見ないというファンに対し、JRAのトップホースの参戦は、地方競馬を多くのファンに認識してもらうきっかけにもなる。その馬たちに対し、地方所属馬がどこまで戦えるか、あるいは互角以上に渡り合えるかを見せることも必要不可欠だ。

 新ダート体系で、3歳牝馬限定のレースとして生まれ変わったマリーンカップJpnIIIが9月26日に船橋競馬場で行われたが、地方馬は南関東から2頭しか出走せず、6頭立てと寂しい争いとなった。ブルーバードカップJpnIIIを優勝するなど春のダート二冠を戦ったアンモシエラと、関東オークスJpnIIを逃げ切ったアンデスビエントが出走したことで、地方馬たちが敬遠してしまったようだが、2頭がスタートから競り合う展開となり、前半3F=34秒9、5F=61秒2のハイペースを生み出し、共倒れの形となった。地元船橋のザオは積極的なレース運びで4コーナーでは先頭。見せ場十分の走りで3着に健闘した。改めて、レースは何が起こるかわからないことを示す結果だった。

 多くのファンは、“JRA>地方”という図式で馬券を検討する。これは、ファンの数やこれまでのレース結果を踏まえれば致し方ない。その中でファンを驚かせるレースを見せることで、その地区の競馬に目を向け、本当の地元ということではない地元意識が根付く。高知競馬が『ヨルノヲケイバ』などYouTube配信などを通じてファンを獲得し、売上を伸ばしていることは、まさにその象徴と言える。

 兵庫のイグナイターは、大井所属時のユニコーンステークスGIIIから数えて12回目のダートグレード競走挑戦、5度目のJpnI挑戦で昨年のJBCスプリントJpnIを優勝した。今年のさきたま杯JpnIはレモンポップの2着と悔しい思いをし、秋初戦の東京盃JpnIIでは1番人気に支持された。フェブラリーステークスGIを含め、ダートグレード競走15回目の挑戦で初の1番人気だったが、残念ながら結果は6着と奮わなかった。しかし、地方馬がダートグレード競走で1番人気になることは、過去を見てもそうあることではない。JBCスプリントJpnI連覇へ、巻き返しを期待したい。

 いよいよJBCを迎える。最も距離が離れた2つの競馬場で行われる初の開催となるが、北海道からシルトプレJBCクラシックJpnIに出走予定。お互いのレースを盛り上げるべく、全国の雄が打倒JRAを目指す姿を応援したい。

(文:古谷剛彦)

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