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相次ぐ騎手のスマホ不適切使用問題…なぜ防げなかったのか 居室内の抜き打ち検査などより踏み込んだ対策の検討も

デイリースポーツ
  • 2024年10月22日(火) 06時00分
 スマートフォンの不適切使用問題が競馬界で相次いでいる。今月11日には、女性ジョッキーの先駆者として活躍していた藤田菜七子騎手(27)=美浦・根本=が、一部週刊誌に掲載された昨年4月ごろの事案を発端に、最終的には現役を引退した。

 昨年に若手騎手6人、今年に入ると水沼元輝騎手が来年2月末まで9カ月間の騎乗処分停止を受け、そして現在は永野猛蔵騎手小林勝太騎手も同様の問題で詳細を調査中。その後、裁定委員会で処分が下される。

 この両名の件に関して、東西のトレセン公正室長が9日に会見を開いた。栗東トレセンの上妻和道室長は「非常に遺憾に思う。今の若い騎手ははき違えている。これまでの経緯を無視した行動を取ってしまっている」と強い憤りをにじませた。

 さかのぼると中央競馬では、1965年に山岡事件が起きている。当時、関東のトップジョッキーであった山岡つとむ(したごころに文)らに暴力団員が金品などを提供し、八百長行為を行わせた事件で、収賄罪により逮捕に至った。それを機に、外部との接触を断つ調整ルームの入室義務など厳格化されたルールが導入された。「1965年に重大な公正事案があったなかで厳しく運用されてきたが、JRAと騎手クラブの信頼関係の中で少しずつルール運用を緩めてきた。騎手クラブの自主性を高めるといったところで、そうなってきた事実がある」といった“これまでの経緯”があるだけに、若手騎手の相次ぐ事案は裏切りと捉えられても仕方がない。

 改めて現在の調整ルームの運用を整理すると、JRAの所属騎手は競馬開催前日の21時までに競馬場か、東西トレセンの調整ルームに入室するのが義務。入室の際には玄関に設置されているロッカーに職員立ち会いのもと通信機器を預け、開催が終了するまで機器を取り出すことは禁止されいる。水沼騎手の件ではスマホ本体ではなくスマホのケースをロッカーに預け、永野騎手の場合は所有している2台のうち1台を預け、もう1台を居室内へ持ち込み、外部と通信していたことが確認されている。

 JRAとしても、騎手クラブに対しての注意喚起や、外部講師を招いた東西騎手クラブへのコンプライアンス研修を実施。また騎手教育をつかさどる競馬学校では、通信機器の取り扱いについて授業の数を増やしているという。ただ「なかなか成果は出ていない」と同室長が言うように、後手に回っているのは否めない。

 そもそも調整ルーム内への通信機器持ち込みが禁止になったのは、昨年6月のジョッキールームへのスマホ持ち込み事案以降。15年にはルメール騎手、16年には丸山騎手が調整ルーム内からツイッターなどで外部との規則違反通信を行い、30日間の騎乗停止となっていただけに、手を打つ時間はあったはず。またボートレースや競輪など他の公営競技よりも運用ルール、処分が甘かったのも大いに指摘されるところだろう。

 上妻室長は「個人的な見解としては持ち物検査に限らず、居室内の抜き打ち検査なども意見として出てくると思う」と、より踏み込んだ対策に言及したが、これ以上の不信は避けねばならない。今後の流れを注視していきたい。(デイリースポーツ・島田敬将)

提供:デイリースポーツ

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