再び輝きを取り戻した。「第170回
天皇賞・秋」が27日、東京競馬場で行われ、2番人気
ドウデュースが上がり3F32秒5の鬼脚で差し切りV。21年
朝日杯FS、22年ダービー、23年
有馬記念に続き、史上7頭目となる4年連続
JRA・G1制覇を果たした。鞍上の
武豊(55)は17年
キタサンブラック以来の同レース勝利で、保田隆芳元騎手に並ぶ最多7勝目。春と合わせて15度目の天皇賞制覇となった。
矢のような末脚で大外一気。衝撃の復活劇に、集まった7万2485人がどよめく。
ドウデュースが記録した上がり3Fは、G1の勝ち馬史上最速となる32秒5。「物凄い脚。これが本来の
ドウデュースです」。
武豊は何度も
ガッツポーズし、待ち望んでいた相棒との美酒に酔いしれた。
1000メートル通過は59秒9。G1としては遅い流れだが、決して名手は慌てない。後方でじっくり脚をため、抑え切れない手応えで直線へ。
ドウデュースは鞍上のGO
サインにしっかり反応すると、あっという間に射程圏内。あっさり先行勢をのみ込むと、その勢いは緩むことなくゴール板を悠々と駆け抜けた。
ドウデュースは強い。それを誰よりも知っている
武豊だからこそできたエスコート。「少しペースが遅いかなと思ったけどこの馬にはこれしかない。ある程度腹をくくってラストの脚にかけた。直線では(一昨年制した)ダービーの時のような手応えだったね」とレースを回顧。「届いたというか完全に差し切ったって感じ。改めて強い馬だなと。最後は倍速で走っているみたいな感覚だったよ」と相棒のパフォーマンスに驚嘆した。
どうしても負けられなかった。昨年のこのレース、
武豊は直前の負傷で乗り替わり。「本当に悔しい思いをした。だから今年は朝から気を付けていたよ(笑い)」。さらに今年は初戦となった
ドバイターフで進路がふさがり5着、
宝塚記念では重馬場に泣き6着と能力を出し切れないレースが続いた。「僕自身、うまくエスコートできないレースがあった。だから結果を出さないといけないという強い思いがあった」と念願の雪辱に安どした。
すでに年内引退が表明されている
ドウデュース。次走予定
ジャパンC(11月24日、東京)では、
ディープインパクト産駒オーギュストロダンなど海外から強敵が集結する。
武豊が「この馬も一段と強くなっているので楽しみ」と話せば、友道師も「今回この馬が一番強い馬だと改めて感じたし、日本の代表として頑張りたい」とG1連勝へ自信。レジェンドと名馬が紡ぐドラマからまだまだ目が離せない。
≪22年のイクイ超え≫これまでの
天皇賞・秋勝ち馬の上がり3F最速は22年
イクイノックスがマークした32秒7。G1史上最速は19年
安田記念での3着
アーモンドアイの32秒4。平地最速(新潟1000メートルを除く)は22年新潟新馬戦で1着
リバティアイランドが記録した31秒4。
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ドウデュース 父ハーツクライ 母ダストアンドダイヤモンズ(母の父ヴィンディケーション)19年5月7日生まれ 牡5歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・キー
ファーズ 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績15戦7勝(うち海外3戦0勝、重賞5勝目) 総獲得賞金12億7289万3800円(うち海外2239万6800円) 馬名の由来は、〜する+テニス用語(勝利目前の意味)。
スポニチ