「
天皇賞(秋)・G1」(27日、東京)
秋の盾を貫いたのは、後方2番手に構えた2番人気の
ドウデュース。直線で豪脚を繰り出すと、ラ
イバルをごぼう抜きしてG1・4勝目を挙げた。
武豊騎手(55)=栗東・フリー=は歴代最多タイの
天皇賞・秋7勝目となった。2着は9番人気の
タスティエーラ、3着には8番人気
ホウオウビスケッツが入り、1番人気に支持された昨年の3冠牝馬
リバティアイランドは13着に沈んだ。
大外一気でVゴールを決めた瞬間、
ドウデュースの上で
武豊は右手を掲げ、人さし指を1本立てた。2歳で朝日杯FS、3歳でダービー、そして4歳は
有馬記念。毎年G1を一つずつ勝ってきた相棒と、5歳の今年は秋の盾を射止めた。“ラストシーズン”を表明して迎えた秋初戦で、4年連続G1勝利に導いた。
「めちゃくちゃうれしいです。ものすごい脚でした。この馬本来の末脚が出ましたね。きょうの勝利は本当にうれしい」。いつもはクールなレジェンドが、この日は感情を真っすぐに表現した。
前半1000メートル通過が59秒9と、古馬の最高峰レースとしてはかなりのスローペース。実際、逃げた8番人気の
ホウオウビスケッツが3着に粘り込んだ。「ペースが遅かったですが、これしかないかなと。これで駄目なら仕方ないという気持ち。でも、手応えはすごく良かったです。ダービーの3〜4コーナーを思い出すような。倍速で走っているみたいでしたね。届いたというより、完全に差し切った。すごい脚でした」。次位に0秒5差をつける圧倒的な末脚(上がり3F32秒5)を手放しで褒めちぎった。
「春2戦は馬っけが強くてイレ込んでいたが、今回は装鞍所から落ち着いていた。夏を過ごして帰ってきた時は馬っけを出すようなこともなく、落ち着いて帰ってきましたから、大人になったなと」と友道師。3歳秋以降の成績は山あり谷あり。だが、ここにきて精神的に大人になった
ハーツクライ産駒は、もう安定して力を発揮できる。
無事なら、残すは
ジャパンC(11月24日・東京)と
有馬記念(12月22日・中山)の2戦。
ジャパンCにはアイルランドのディープ産駒
オーギュストロダンなど、海外の強豪も参戦してくる。「いいラストシーズンにしたいね。強い外国馬が来るようなので、しっかりと迎え撃ちたい」と鞍上が力を込めれば、指揮官も「日本代表として頑張りたい」と口をそろえた。
「あれは1着の1です」と笑った
武豊。1カ月後の府中で、レジェンドは再び指を立てて喜びを表現するはずだ。
提供:デイリースポーツ