◆第170回
天皇賞・秋・G1(10月27日、東京・芝2000メートル、良)
第170回
天皇賞・秋・G1は27日、東京競馬場で行われ、年内引退を表明している
ドウデュースが直線一気を決め、史上7頭目の4年連続
JRA・G1制覇となるG1・4勝目。
武豊騎手(55)=栗東・フリー=の覚悟の騎乗に、レース史上最速の上がり3ハロン32秒5で応えた。次走を
ジャパンC(11月24日、東京)に定め、史上3頭目の「秋古馬3冠」も視野に“最終章”を突き進んでいく。
他馬が止まって見えるほど強烈な末脚だった。残り400メートル。
武豊は
ドウデュースを後方2番手から大外へ。ギアが入るとレース史上最速となる上がり3ハロン32秒5を繰り出し1馬身1/4差で悠々とゴール板を駆け抜けた。「倍速で走っているみたいだった」と漏らした鞍上は何度も拳を突き上げ、人馬で喜びに酔いしれた。
「今回は絶対に結果を出さなきゃいけない」と臨んでいた。昨年は5R終了後に蹴られて負傷し乗り替わり。今年は2戦して勝てないまま、相棒の年内引退が発表された。腹をくくってラストの脚を引き出す騎乗で、レース最多タイ7勝目を手にし「
ドウデュースの本当の力を出すことができて、めちゃくちゃうれしいです」と笑みを浮かべた。
ドウデュースは史上7頭目となる4年連続のG1勝利の偉業を達成。
メジロマックイーンや
ゴールドシップなどと肩を並べ、
武豊は「2歳から完成度が高かったし、パフォーマンスを維持させるスタッフがさすが」と絶賛。ノーザン
ファーム・吉田勝己代表も圧巻の復活劇に「化け物ですね」と驚きを隠さなかった。
現役生活は残り2戦。次戦に予定する
ジャパンCには、
ディープインパクトの最終世代でG1・6勝を挙げる
オーギュストロダンをはじめ、海外の強豪が参戦予定だ。管理する友道調教師は「日本代表として頑張りたい」と話せば、鞍上も「実績もすごいし楽しみ」と胸を躍らせる。さらに先には史上3頭目の「秋古馬3冠」という快挙も待つ。55歳のレジェンドのエスコートで、伝説を予感させる最終章が幕を開けた。(石行 佑介)
◆友道調教師運命的な盟友との再会
懐かしい感覚がよみがえった。今月14日夜。友道調教師は東京で21年2月末で勇退した角居元調教師と会食した。違う道を歩むようになってから食事は初めて。「変わってなかったよ。どんな生活をしているのか聞こうと思ったんだけど、結構飲んじゃったね」と笑みを浮かべた。
ダービー2勝など一時代を築いた松田国厩舎での助手時代。2人が番頭役だった。仕事後には松田国調教師も含めた3人でミーティング。夕食を出されるほど長いことも多かった。「特にマツクニさんと角居ちゃんが熱くてね。二人とも練って練ってというタイプ。強い意思があったね」。熱い空気に触れたことが調教師としての原点にある。
角居さんの勇退から約半年後、小倉でデビューしたのが
ドウデュースだった。その角居さんの08年
ウオッカと同じように
武豊とのコンビで初めてつかんだ秋の盾。盟友との再会が衝撃Vの背中を押したのかもしれない。(山本 武志)
◆
ドウデュース 父ハーツクライ、
母ダストアンドダイヤモンズ(父ヴィンディケーション)。栗東・
友道康夫厩舎所属の牡5歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算成績は15戦7勝(うち海外3戦0勝)。総獲得賞金は12億7289万3800円(うち海外2239万6800円)。主な勝ち鞍は
朝日杯FS・G1(21年)、
日本ダービー・G1(22年)、
京都記念・G2、
有馬記念・G1(ともに23年)。馬主は(株)キー
ファーズ。
スポーツ報知