フレッシュな7歳馬に“実りの秋”がやってきた。「第62回
アルゼンチン共和国杯」の最終追い切りが30日、東西トレセンで行われた。美浦では5カ月ぶりの実戦となる
クロミナンスがWコースで躍動感あふれる走りを披露。重賞初制覇へ万全の態勢をアピールした。
重馬場も関係ない。
クロミナンスが雨にぬれたウッドチップを力強く蹴り上げる。重賞初Vを目指して、最終リハはWコースで単走。パワフルな脚さばきで推進力十分のフットワークを見せた。強めに追われて6F82秒4〜1F11秒6。尾関師は「この馬のリズムで運べるという意味で単走でしたが、思い通りの追い切りはできた」と納得の表情を浮かべた。
当週までしっかり負荷をかけた調整過程に充実ぶりがうかがえる。「状態面も2週前の雰囲気が良かったので、ある程度しっかりやっておけると思っていた。1週前は併せ馬で時計的にもいい追い切り。今週も、もう一つ攻めてもいいかなと思えるくらい馬の状態は良かった」と師。陣営の思いに愛馬もしっかりと応えた。今回は前走
目黒記念(3着)以来、5カ月ぶりの実戦だが力は出し切れる状態だ。
ここまでキャリアわずか13戦。幾多の逆境をはねのけてきた7歳馬が“旬”を迎えた。19年10月のデビュー以降、3度の骨折や脚部不安の長期休養を乗り越えてきた。6歳の昨秋に3勝クラスを突破してオープン入り。今年1月、重賞初挑戦となったAJC杯では3着。“出世”は遅れたが着実に力を蓄えていた。指揮官は「どうしても体質が弱くて骨折も数回して苦労してきたんですけど、能力の高さで勝ってきてくれた」と振り返る。
今年は上半期だけで3走し、全てG2で3着以内と地力も証明した。師は「疲れが出たり、体が弱い時は硬くなりがちだったが、今はそういう部分が良くなって乗りやすさが前面に出せるのだと思う」と説明。体質が改善し、ポテンシャルを存分に発揮できるようになった。今回が重賞4度目の挑戦。2戦ぶりにコンビを組む戸崎も「乗りやすくて、操縦性が高く動きたい時に動ける。長距離を走るのが上手な馬」と力強い。充実ムード漂う
クロミナンスの逆襲が始まる。
スポニチ