現役時代に「帝王」の異名を取り、GIを4勝した
トウカイテイオーだが、種牡馬としては順風満帆というわけではなかった。98年に初年度産駒がデビューしたが、フレッシュサイアーランキングは
サクラバクシンオーや
フジキセキ、
ウイニングチケットなどに後れを取る9位。それだけに前途を悲観する声も多かったが、02年の
マイルCSを
トウカイポイントが制覇。これを機に
ヤマニンシュクル、
ストロングブラッドなどの活躍馬が出て、一定の評価を得ることとなった。今回はそんな転機となった一戦を振り返る。
トウカイポイントは
父トウカイテイオー、
母マッチポイント、母の
父リアルシャダイの血統。父の初年度産駒だった。地方・盛岡でデビューし、冬になると
JRAに移籍。条件クラスで勝ち切れない時期もあったが、去勢を経て、01年秋から2000m以下を使われるようになると素質が開花した。翌年の
中山記念で重賞初制覇。秋を迎え、99年以来のマイル戦となった富士Sは5着だったが、陣営は
マイルCSへの参戦を決めた。
単勝23.8倍の11番人気で迎えた一戦。
蛯名正義騎手に導かれた
トウカイポイントは中団で運んだ。直線に向くと馬群の中から追い上げて、横一線の叩き合いからゴール前でひと伸び。外の
エイシンプレストンをクビ差抑え、GI初制覇を果たしたのだった。
トウカイポイントは続く
香港マイルでも3着に健闘。さらなる活躍が期待されたが、7歳初戦の
中山記念で右前浅屈腱不全断裂を発症して競走中止となり、引退を余儀なくされた。最後は残念な形となったが、父の産駒としてGI初制覇を果たした功績は、多くのファンの脳裏に刻まれている。