「JBCクラシック・Jpn1」(4日、佐賀)
生まれ育った故郷に大きな錦を飾った。24回目にして初めて佐賀で行われた今年のJBCクラシック。1番人気
ウィルソンテソーロ(牡5歳、美浦・小手川)を鮮やかに駆り、初の
ビッグタイトルをもたらした主役に盛大な“川田コール”が降り注いだ。
普段はしない
ガッツポーズ、ウイニングランもこの日だけは特別だ。懐かしさと心地よさを感じながら、ゆっくりと1周。スタンド前で
ヘルメットを取り、馬上で深々と一礼すると自然と涙がこみ上げた。「僕はこの小さな
佐賀競馬場で生まれ育ちました。いろんなところでレースをさせてもらっていますが、地元でG1を勝つことがこんなに感極まるんだと。騎手冥利(みょうり)に尽きる」と目頭を赤く染め言葉を紡いだ。
「ゲート裏を回っているときに、あそこで僕はちびっ子相撲の練習をしていた」と笑うやんちゃだった少年も、今や日本を代表するトップジョッキー。現地2日のBCクラシックから強行軍で帰国しての凱旋(がいせん)騎乗も、手綱さばきはさえ渡った。道中は先団の後ろでじっくりと構え、2周目3角から内を突き先頭。必死のステッキで奮い立たせ、後続を完封し切った。
大舞台での惜敗が続いた相棒に鞍上は、「必ず勝つ競馬をしたかった。一歩一歩成長してG1馬までたどり着いてくれた」と優しくほほ笑む。開業5年目でうれしい初のG1級タイトル制覇となった小手川師も、「何が何でもウィルソンにG1を勝たせてあげたかったけど、逆にこちらが勝たせてもらった」と愛馬に頭を下げた。
今後については馬の状態を見つつの判断だが、国内制圧あるいは世界も視野に入ってくるだろう。頼もしい名手とともにつかんだ
ビッグタイトルは、まだ手始め。軌道に乗ってきた5歳馬には、輝かしい未来が待っている。
提供:デイリースポーツ