「
エリザベス女王杯・G1」(10日、京都)
牝馬の頂上決戦に“異変”が起きている。かつて3歳牝馬と古馬牝馬の対決で盛り上がる年もあった
エリザベス女王杯だが、今年は3歳馬の登録が1頭のみ。96年に
秋華賞が創設されて以降、3歳馬の出走が最も少なかったのは「2頭」(07、12、16、18、21年)で、今回は3歳馬の最少出走頭数を更新することになった。
メンバー唯一の3歳馬
レガレイラはローズSを
ステップに臨んでおり、前走・
秋華賞組が一頭もいないのも史上初の事態だ。今年の
秋華賞上位馬の動向を確認すると、1着
チェルヴィニアは
ジャパンC(24日・東京)に向かうローテが発表されており、2着
ボンドガールは年内休養。3着の
桜花賞馬
ステレンボッシュも
エリザベス女王杯には向かわず、出否未定ながら
香港C&
香港ヴァーズの予備登録を済ませている。
昨年の覇者
ブレイディヴェーグもローズS2着から
秋華賞をパスして栄冠をつかんだ。ノーザン
ファーム天栄の木實谷雄太場長は、多くの有力馬が
秋華賞をパスする理由を説明する。
「あくまで3歳牝馬の目標は
秋華賞であって、最初から
秋華賞と
エリザベス女王杯をセットで考えている馬はいません。近年の
秋華賞は時計の速い決着になりやすいですし、馬の強い弱いは関係なく、(
秋華賞からでは)パフォーマンスを発揮できないと考えています」
続けて、こうも語っていた。「特に関東馬は中3週で2度の関西遠征がつらいですね。古馬であれば、今年の
シンティレーションのように(同じ中3週でも)
府中牝馬Sから向かう馬もいますが、3歳馬だと栗東滞在でもしないと厳しい。
エリザベス女王杯の前に
秋華賞を走ると、いい状態で出走できる見込みが低くなると思っています」と、若駒には過酷なローテーションや長距離輸送についても言及していた。
確かに過去10年の
エリザベス女王杯で、
秋華賞Vから連勝した馬は〈0・0・0・5〉で1頭もおらず、同2着から参戦した馬も〈0・1・0・4〉。唯一の好走が14年の
ヌーヴォレコルト(2着→2着)しかいないところに、3歳牝馬がこのローテでの連続好走がいかに難しいかが分かるだろう。また、
アーモンドアイ(18年)や
リバティアイランド(23年)、今年の
チェルヴィニアのように牡馬とも戦える実力のある3歳牝馬は、賞金が高くて斤量面も有利な
ジャパンCに出走するという事情もある。
来年も
秋華賞(25年10月19日・京都)→
エリザベス女王杯(同11月16日・京都)という中3週のレース間隔は変わらない。それだけに、来年以降も
秋華賞組の参戦が大きく増えるケースは考えにくい。
秋華賞組が“ゼロ”となった今年は、G1ローテの転換点になる年なのかもしれない。
最後に、木實谷場長に今年の有力馬である
レガレイラの状態を聞いてみた。同馬はローズS5着後は福島県のノーザン
ファーム天栄で約1か月間の調整を行って10月18日にトレセンに入厩。「前走が暑い状況のレースだったので反動を心配しましたが、牧場でも順調に立ち上げられて、いい状態で使えそうです。(外回りの)コースレイアウトも
レガレイラに向く条件なので頑張ってほしいですね」と期待を寄せていた。昨年Vの
ブレイディヴェーグと鞍上&勝負服&牧場、そして同じローテでどのような走りをするのか注目したい。(デイリースポーツ・刀根善郎)
提供:デイリースポーツ