今もさんぜんと輝く空前絶後の「外国馬による
JRA平地G1連覇」。10、11年
エリザベス女王杯を制した「英国の妖精」
スノーフェアリーが見せた切れ切れの決め手は、「凄いレース」を見慣れているはずの日本のファンをも驚かせた。最初の制覇となった10年。直線で実況は「
スノーフェアリーがすーんごい脚!」と叫んだ。
11年も直線ではもの凄い脚だったのだが、インパクトでいえば10年にはかなわない。イン2頭目から圧巻の伸びを見せ、一瞬にして後続を突き放した。ラスト2Fのラップは12秒7−11秒8。この“加速ラップ”を見ただけでも衝撃が伝わってくる。
この勝ちっぷりは、さすがのライアン・ムーアにとっても想像以上だったようだ。「英
オークス、アイルランド
オークス(ともに1着)より強かった。ギアを上げた瞬間のスピードが桁違いだった」。鞍上は感嘆の声を上げた。
筆者はレース前の数日間、京都で
スノーフェアリーの調整ぶりを見守ったが、
リラックスした様子が印象的だった。
エドワード・ダンロップ師は「ずっと独りぼっちで調教していたのに寂しがることもなく、最高の状態をキープした。この馬にはいつも驚かされる。凄いハートの持ち主だ」と語った。
今思えば、
スノーフェアリーは遠征に強いタイプなのだろう。そこに、これまで隠れていた日本の馬場への強烈な適性が爆発して、歴史に残る快勝劇となったのではないか。
それにしてもダンロップ師のこの馬に関する
ジャッジには恐れ入る。英・愛
オークスともに追加登録料を支払っての出走で優勝した。当時、約260万円と約470万円だったそうで、オーナーもだいぶしぶっていたという。そこを「勝てますから」と説き伏せての快勝だった。
秋も欧州でのビッグレース、米国でのブ
リーダーズCと選択肢はいろいろあった。そこを
エリザベス女王杯に狙いを定め、褒賞金込みで1億8000万円をゲット。翌年の連覇も含め、馬が最も力を出せるレースを選択することがいかに重要かを教えてくれた。
レース後、ダンロップ師は「次は
ジャパンCに向かいたい。
ブエナビスタを倒すのは今しかない」と語った。天皇賞馬
ブエナビスタ対
スノーフェアリー。対戦は夢で終わったが、実現したら身震いするような好カードだった。
スポニチ