欧州の怪物がやってきた。「第41回
マイルCS」の追い切りが13日、京都競馬場で行われ、今年G1・3勝の英国馬チャリンは初タッグのライアン・ムーア(41)を背に芝コースで躍動感あふれる動きを披露した。今年に入って充実期を迎えたが、来年から種牡馬入りが決定しているため、今回がラストラン。13年ぶり延べ12頭目の外国馬参戦で初Vを狙う。同レースは14日に出走馬が確定、枠順は15日に発表される。
芦毛の馬体を弾ませ、京都の奇麗な芝生を力強く駆け抜けた。英国馬チャリンは世界の名手ムーアを背に最終追い。これが初コンタクトだったが道中はリズミカルな走り。ぴったり息が合った。3角の下り坂から徐々にスピードを乗せて直線へ。ラスト1F(200メートル)で鞍上が手を動かすと、大きな体を揺らしながら地面を蹴り上げ、グイッとひと伸び。6F81秒1〜1F12秒2を刻んだ。ムーアは「ハードなものではなく、微調整で馬のフィーリングをつかむ程度。コーナリングはスムーズで息の入りも早かった。トップコンディションで臨める」と自信を口にした。
6日、英国から約47時間の輸送で日本に到着した。三木ホースランドパーク(兵庫県)の国際厩舎を経て、12日に京都競馬場へ移動。ヴェリアン師は「ツヤが良く、健康状態は良好。馬体も美しい。今朝の馬体重は514キロで、まさにレースに最適な数字です」と順調ぶりをアピールする。
今年は7戦5勝(G1・3勝)、2着が2回と
パーフェクト連対。4歳を迎え、急成長を遂げた。6月のクイーンアンSでG1初制覇。続く
ジャックルマロワ賞は好位から早め先頭で勝負あり。00年以降、レース史上3番目に速い勝ち時計1分33秒98で後続を3馬身ちぎった。前々走ムーランドロンシャン賞は大逃げを打った伏兵
トリバリストに逃げ切りを許したが2着を死守。悲観する内容ではない。
前走クイーンエリザベス2世Sは3月
ドバイターフを制した
ファクトゥールシュヴァルとびっしり馬体を併せる形。ゴール前はギアを上げ、2馬身突き放した。直近のG1・5戦で他馬に騎乗していたムーアは「自分のすべきことを理解し、それを全うする。とてもプロフェッショナル」と評価。師も「3つの特徴があり、素晴らしい能力、より優れた精神、そして非常に強い体です」とほれ込む。
ヴェリアン師は12年
ジャパンCに管理馬スリプラトラを送り出し、最下位17着。12年ぶりの日本参戦となる。「私にとって(あのレースは)エキサイティングな瞬間でした。常に日本に管理馬を出走させることに前向きでしたが、チャンピオンホースを連れてくるべきだと考え、長い時間がかかった」。今秋、その時が訪れた。来年からフランスで種牡馬入りが決定している欧州のマイル王は今回がラストラン。日本馬との真っ向勝負に挑む。
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