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「森泰斗」なくしては語れない実績と存在感 まっすぐに競馬と向き合う姿勢が忘れられない 元南関担当が見た

スポーツ報知
  • 2024年11月15日(金) 16時14分
 私は18〜23年まで南関東競馬の取材と予想に携わったが、けがで離脱したとき以外で『森泰斗』の名前を見ない日は、ほぼなかったと言えるほど、全力で競馬に向き合ってきたジョッキーの1人だった。

 南関東の騎手はとにかく忙しい。毎週、月〜金は開催というハードな日程に加えて、トップジョッキーともなれば所属する競馬場以外でも毎日のように多くのレースに騎乗する。さらに未明から朝方にかけて行う調教を手伝うことになれば、開催期間中に気を休める時間は、ほとんどないと言ってもいい。

 そんななかで森騎手は、19年は年間1669回も騎乗し、360勝で地方リーディング1位。20年には387勝、21年は362勝で3年連続で地方トップに輝き、予想をするときには”森騎手が勝つのか”から予想を組み立てていたことも多かった。

 競馬場で取材をするときには、次のレースのためにパドックへ向かう際や装鞍所から出てきたタイミングで一緒に歩きながら話を聞くのが普通だった。多忙ななかでも、しっかりと丁寧に騎乗馬のことを話してくれる対応に、取材現場のキャリアが浅かった私もよく助けられたことを覚えている。また、レース後には腕を組みながら考え込むように歩く姿も多く目にしてきた。確かな技術だけでなく、自身の意見や今後の課題などを関係者にしっかりとフィードバックしてきたことや、真面目に取り組む姿勢も関係者の信頼を得ていった要因だと感じる。

 私が中央競馬担当になる直前にお礼を伝えると「栄転じゃないですか」と笑いながら「こちらこそありがとうございました」と丁寧にあいさつをしていただいた。今年、中山競馬場であいさつをかわした際にも「お元気そうですね。栄転先でも頑張られているようで」と冗談をまじえて温かい言葉をかけてもらった。私が担当だった数年を振り返ると”森泰斗”なくてしては南関東を語れないほどの実績と存在感があった。レースで雄姿を見られなくなるのは非常に残念ではあるが、まっすぐに競馬と向き合ってきた姿を思い返すと「お疲れ様でした」以外の言葉は思いつかない。(浅子 祐貴)

スポーツ報知

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