「日本の競馬場で日本の馬がそんなに簡単に負けるかよ」。20日付スポーツ報知競馬面に掲載された矢作調教師の言葉は胸に響いた。
凱旋門賞が行われるパリロンシャン競馬場の馬場は、日本勢にとって特殊な馬場だ。だが高速決着となる東京の馬場は、外国勢にとっては特殊のはず。
実際に、
ジャパンCでは1989年に
ホーリックス(豪州)が当時、世界レコードVと言われた2分22秒2を出し、2005年の
アルカセット(英国)が2分21秒1に更新。2018年には
アーモンドアイが2分20秒6で走りきった。この馬場で進化を続けてきた日本勢は、ホースマンの
プライドに懸けて勝利を手にしてもらいたい。もちろん狙い馬も日本勢からだ。
今年も良馬場の見通しで、2分22秒台の決着となっても不思議はない。昨年は
パンサラッサが引っ張り、最初の1000メートル通過が57秒台の速い流れになったが、2番手以降は平均ペースだったか。それでもヨーイドンの上がり勝負ではなく、
イクイノックスが直線で早めに先頭に立っての2分21秒8。著しい不利は無く、昨年3着
スターズオンアース(2分22秒6)、4着
ドウデュース(2分22秒7)はほぼ実力を出し切っての結果と言えるだろう。
今年もスローからヨーイドンのような競馬にはならないとみる。明確な逃げ馬がおらずペースはミドルからスローが濃厚でも、持続力ある海外勢はスローならば早めにペースを上げていく。東京競馬場の直線は525・9メートル。
ファンタスティックムーンは今年のバーデン大賞(バー
デンバーデン競馬場は最後の直線が約500メートル)で直線入口手前から仕掛けて勝利したが、前半の流れ次第では3コーナーからペースが上がっていく場面も考えられる。
すると、問われるのは上がり3ハロンよりも長い上がり4ハロン、同5ハロンでの能力。過去に前後半5ハロンのレースラップが1秒以内だった2000メートル以上の重賞での、各馬の成績を調べてみた。まずは
ドウデュース。22年
皐月賞3着、22年
日本ダービー1着、23年
京都記念1着、23年
有馬記念1着。崩れたのは23年
天皇賞・秋7着だけ。今回想定した流れで十分に力を発揮できるはずだ。
以下、
ジャスティンパレス(21年
ホープフルS2着、23年
宝塚記念3着)、
シュトルーヴェ(24年
日経賞1着)、
シンエンペラー(23年
ホープフルS2着、24年報知杯
弥生賞2着)、
ドゥレッツァ(24年
金鯱賞2着)、
ソールオリエンス(23年
日本ダービー2着)が主な実績だが、敗戦も多い。そのなか最も安定した成績を残しているのが
スターズオンアースだ。
22年
秋華賞3着、23年
大阪杯2着、23年
有馬記念2着と、ペースや馬場にかかわらず全く崩れていない。このうち
秋華賞は8キロ増、
大阪杯は12キロ増、
ジャパンCも12キロ増と休み明けの度に体を増やして3着内に入ってきた。今回も事前に発表された馬体重が16キロ増(前走は海外レースだったため2走前との比較)に加えて大外枠で、人気を落とすようなら狙い目だ。昨年の1、2着馬がいない今年は昨年の3、4着馬が日本勢の
プライドを守るはずだ。(編集委員・小松 雄大)
スポーツ報知