「
ジャパンC・G1」(24日、東京)
8万人の
ユタカコールが降り注いだ。1番人気の
ドウデュースが、メンバー最速となる上がり3F32秒7の鬼脚でたたき合いを制し、世界の強豪相手にG1・5勝目を挙げた。昨年、負傷離脱中で手綱を取れなかった
武豊は、
天皇賞・秋に続いてきっちりVをつかみ取り、
ジャパンC歴代最多の5勝目。レース後の状態次第だが、既に年内引退が発表されている5歳馬は、
有馬記念(12月22日・中山)で連覇&有終Vを狙う。2着は7番人気の
ドゥレッツァと8番人気の
シンエンペラーの同着だった。
これが日本の総大将だ。
ドウデュースがまた異次元の末脚をさく裂。
天皇賞・秋に続く、完勝劇で秋の古馬3冠に王手をかけた。
すっかり定着した後方からの競馬。主戦も想定内のスローペースだったが、走りたい気持ちが想像を超えていた。折り合いをつけようとするも、抑え切れない。「ファンのみなさんもシビれたと思うけど、俺は手がシビれた。うなってる。上がり半マイルをナンボで走っているんやろ。ス
プリンター並の脚」とレース後の
武豊がその手応えに驚くほど。残り800メートルで手綱を緩め、ポジションを上げると、我慢から解放されて
ギアチェンジ。直線は放たれた矢のように一瞬で前をのみ込み、ゴール板を射抜いた。
世界最強クラスの海外馬が相手でも負けるわけにはいかなかった。ゴール後、右手の人さし指で頂点をアピールした鞍上は「ものすごく勢いがついて、アッという間に先頭に立った。並の馬では最後まで持たない展開。本当にすごい末脚」と舌を巻く。主戦はこれで歴代最多の
ジャパンC5勝目。5戦のランク付けを求められ、「着差はあまりなかったけど、かなり中身が濃い。内容的にすごく強さが出たレース。きょうのところはきょうが一番と言いたい」と笑った。
「ホッとしました」。友道師も胸をなで下ろす。2年前はフランスで涙をのみ、昨年はドバイで出走取消。今年の
ドバイターフは5着と世界戦は何度もはね返されてきた。「海外で悔しい思いをしたので。日本の競馬場では負けられない思いで挑み、強い勝ち方をしてくれました。日本のファンに強い
ドウデュースを見せられたし、世界の皆さまにも本当の
ドウデュースを見せられた」と愛馬をたたえ、胸を張った。
鞍上が2歳の
ファーストコンタクトで衝撃を受け、その
武豊にほれる松島オーナーとともに歩み続けたダービー馬は、現役最後の標的へ向かう。「昨年も最後の
有馬記念を勝ったように、使いつつ良くなる馬。あと1戦、何とか頑張りたい」。トレーナーが力を込めれば、「無事なら
有馬記念が引退レース。そう聞いて、3つとも勝ちたいと思っていたし、当然、勝ちたい気持ちが強い」とユタカもこぶしを握る。日本の誇るヒーローが連覇、そして花道Vへ-。“夢のはなし”は続く。
提供:デイリースポーツ