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【追憶のスポニチ賞ステイヤーズS】97年メジロブライト これぞ覚醒の瞬間!あっという間に天皇賞馬へ

スポニチ
  • 2024年11月27日(水) 06時45分
 競走馬の“覚醒”した瞬間を、これほど分かりやすくファンの前に示した一戦も、そうないだろう。メジロブライトがゴールを通過して1秒8が経過した後、2着アドマイヤラピスがようやくゴールに到達した。着差は「大差」。凄みすら感じる勝ちっぷりに、明けて98年のメジロブライトの活躍を誰もが予感した。

 鞍上・河内洋(現調教師)は初騎乗。だが、さすがいぶし銀。メジロブライトの潜在能力を余すことなく引き出した。胸突き八丁の2周目3角過ぎ。押してポジションを上げ、直線を迎えたところで早々と先頭へ。あとは後続を突き放す一方だ。拍手に迎えられてゴールを通過し、ワンテンポ置いてから、2着アドマイヤラピスがフィニッシュした。

 「仕掛け始めた2周目3角手前での手応えが他の馬と全然違うんだ。天性のマラソンランナーだよ、この馬は」。河内が身振り手振りをまじえて、その強さを解説する。メジロ牧場・北野雄二オーナーは「いやあ、これですっきりしましたよ」とホッとした表情を浮かべた。

 皐月賞4着、ダービーは1番人気に推されたが3着、菊花賞も3着。直線で猛烈に追い込むのだが届かないという、もどかしい競馬が続き、メジロ牧場の願いでもあったダービー制覇にも届かなかった。そんな消化不良を一掃するような鮮やかな勝ちっぷり。そして“先行からの抜け出し”という驚きのモデルチェンジだった。

 レース直後は「疲労がなければ有馬記念へ」という声も上がったがグランプリ参戦は自重。これは正解だった。

 年明けを待ったメジロブライトはアメリカジョッキークラブCに参戦し、2馬身半差で快勝。続く阪神大賞典では同期のライバルで、前年の有馬記念を制したシルクジャスティスとの激闘を鼻差制し、重賞3連勝。いよいよ大一番、第117回天皇賞・春に挑み、2着ステイゴールドに2馬身差をつけ、会心の差し切り。G1の勲章を手に入れた。

 その後、G1を勝つことはできなかったが、グラスワンダースペシャルウィークセイウンスカイなどと幾度も名勝負を繰り広げたメジロブライト。その才能が覚醒した一戦は、間違いなくステイヤーズSだった。

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