◆第25回
チャンピオンズC・G1(12月1日、中京・ダート1800メートル、良)
最後まで先頭を譲るつもりはない。
レモンポップは迷いのない逃げを打ってレースを支配した。抜群の手応えで4角を回り、後続を引き離す。昨年のVTRのように
ウィルソンテソーロが追い込んできたが、10センチ差で史上2頭目の連覇を決めた。勝ち時計は昨年より0秒5速い1分50秒1。人前で泣かないクールな田中博調教師が、検量室前で人目をはばからず感極まり、涙を流した。
ラストランの1時間半後、引退式で再び
ウィナーズサークルに姿を現した。セールスポイントのたくましい肉体を、ファンはじっくりと目に焼き付けた。偉業を成し遂げたダート王は悠然と歩いた。
レース直後、「名馬です。馬とスタッフがすごい」と感動したトレーナー。セレモニーでは「色々な経験をさせてくれ、厩舎に勢いをつけてくれて感謝しかないです」と最敬礼した。
デビューから担当した田端助手は「賢くて、真面目で、いい子。“つらい思いをして走るのは、今日が最後だよ”と言って瑠星にバトンタッチしました」と晴れやかな表情だった。
国内では16戦13勝、2着3回と全て連対。G1級競走も国内では6戦6勝。今日の勝利でダーレー
ジャパンスタリオンコンプレックス(北海道日高町)での種牡馬生活に向け、大きなアピールに成功した。レモンのように鮮やかに彩られた競走生活は、幕を閉じた。早ければ28年のデビューになる産駒の活躍が今から待ち遠しい。(山下 優)
スポーツ報知