古馬顔負けの操縦性で無敗2歳女王へ。今年は京都で開催される「第76回
阪神ジュベナイルフィリーズ」の追い切りが4日、美浦、栗東トレセンで行われた。美浦では
ブラウンラチェットが大人の走りを披露。新馬、
アルテミスSに続く3連勝で2歳女王の座を射止める構えだ。栗東では連勝で
デイリー杯2歳Sを制した
ランフォーヴァウがCWコースで切れのある動き。勢いに乗ってG1タイトルを狙う。同レースは5日に出走馬が決まり、6日に枠順が発表される。
女子は男子よりも大人になるのが早いというが、この2歳牝馬の大人びた走りにはリーディングジョッキーも驚きを隠せない。「まるで古馬です」。新馬戦を快勝した
ブラウンラチェットの馬上でルメールは珍しく顔を紅潮させた。2戦目の
アルテミスS優勝後にも「キャリアを積んだ古馬みたいに自分の仕事が分かっている馬です」と褒めた。
2歳女王の座を懸けた最終追い切りで見せたのも古馬の走り。3歳オープン馬
オーキッドロマンスと併せ馬。3馬身後方で折り合うと、手綱を緩めた瞬間にス
トライドに力がこもった。レールの上を走る
リニアモーターカーのようにウッドチップにブレひとつない蹄跡を刻んでいく。懸命に追いすがる3歳オープン馬の内から造作もなく併入に持ち込んだ。奇麗な加速ラップを刻み、ラスト2Fは12秒5→11秒6と
ギアチェンジ。6Fを83秒6にまとめた。「抜群の操縦性です。走り出したら余計なことは一切しない。鞍上の言うことをしっかり聞いてくれるし、走りの
バランスが凄くいい」。手綱を取った嶋田(レースはルメール)も大人びた走りを絶賛した。
ダート重賞5勝
フォーエバーヤングの半妹。肩と胸前にはダートにも対応できそうな分厚い筋肉をつけているが、肩の滑らかな傾斜と流麗な首差しは芝向きと思わせる。「僕も乗っていて手先が軽い芝馬の走りだと感じます。緩さがなくて、ポテンシャルは凄い」と嶋田は続けた。
10度目の
JRA・G1タイトルが懸かる手塚師も「言うことなし。能力は高いし、予定通りに調整できています。馬体重は先週の測定で434キロ(前走時440キロ)。少し減っての出走になるが、心肺はできていますから」と語る。
アルテミスSではテンに出していったためハミをかんだが、すぐに収まった。非凡な競走能力に加えて古馬顔負けの操縦性を備えた2歳牝馬。「どんなレースでもできるはず。必ず脚は使ってくれると思う」と揺るぎない信頼を寄せた。
《サンデーR最多7勝》
ブラウンラチェットを所有するサンデーレーシングはこのレースで歴代最多の7勝を挙げている。22年
リバティアイランドに23年
アスコリピチェーノで勝っており、3連覇も懸かっている。牝馬限定のG1では特に強く、昨年は
リバティアイランドの3冠に
ソングライン(ヴィクトリアM)、
ブレイディヴェーグ(
エリザベス女王杯)、
アスコリピチェーノ(阪神JF)と6勝を挙げた。今年も
チェルヴィニアが
オークス、
秋華賞と牝馬2冠を達成。
エリザベス女王杯は
スタニングローズが制した。今年のサンデーレーシング所有馬は
ブラウンラチェット1頭のみ。黙って信頼しよう。
《
キズナ産駒2歳戦無双》
キズナ産駒が好調だ。
JRA2歳リーディングサイヤーランキング首位を走っている。現2歳は
JRAで21頭が勝ち上がり、計26勝。今回は
ブラウンラチェットと
ミストレス、抽選対象の
ショウナンザナドゥが登録している。今年の2歳重賞は
アルテミスS、
札幌2歳S(
マジックサンズ)、京都2歳S(
エリキング)の3勝。阪神JFを勝てば種牡馬の
JRA2歳重賞年間最多勝(4勝=
ノーザンテースト、
サンデーサイレンス、
ブライアンズタイム、
ディープインパクト、
ロードカナロア、
ハーツクライ)に並ぶ。
《手塚厩舎も2歳戦無双》
ブラウンラチェットを管理する手塚厩舎は2歳戦で大暴れ。現2歳世代で斉藤崇、須貝厩舎の12勝に次ぐ11勝を挙げている。勝率25%、連対率51%と数字も優秀だ。ルメールの騎乗馬に絞ると【3・3・0・3】で連対率は67%。11月以降を見ても【4・2・1・2】で勝率44%、連対率67%と勢いはとどまることを知らない。名手を背に、厩舎として23年
皐月賞(
ソールオリエンス)以来、区切りの
JRA・G1・10勝目を狙う。
スポニチ