休み明けも初マイルも一切、関係なかった。2歳女王決定戦「第76回
阪神ジュベナイルフィリーズ」は8日、京都競馬場で行われ、
札幌2歳S2着から3カ月ぶりの5番人気
アルマヴェローチェが差し切りV。デビュー6年目、初コンビを組んだ
岩田望来(24)にとっても
JRA・G1初制覇となった。
上村洋行師(51)は今年の
大阪杯(
ベラジオオペラ)に続くG12勝目。米国馬
メイデイレディは13着に終わった。
淀の西日を
バックに黒鹿毛の馬体が勢い良く伸びてきた。直線、外に進路を取った
アルマヴェローチェが岩田望の
ゴーサインに反応し、エンジン全開。追い比べで食い下がる内の
ビップデイジーをラスト100メートルで突き放し、1馬身1/4差で人馬ともにG1初制覇のゴールへ。右こぶしで
ガッツポーズの岩田望は「調教で乗った感触が良く、自信を持って乗れました」と会心の騎乗を振り返った。
初コンビながら息ぴったりの走りを見せた。道中は中団で脚をため、絶好の手応え。上がり3F最速34秒3の末脚を繰り出し、突き抜けた。「スタート五分に出て、ある程度前につけようと。理想の形だったし、追い出してからの脚が凄かった」と1週前追いに騎乗したパートナーの能力を再認識。見た目に文句なしの勝ち方でも、もちろん乗っている本人は必死で「ゴールするまで分からず、内を見た時に誰もいなかったので、やっと勝てたと思いました」と笑みがこぼれた。
父・康誠の背中を追いかけて騎手を志し、19年にデビューした岩田望。これが61度目の
JRA・G1騎乗だった。「やっとこの声援を聞けました。応援してくださるファンがいて、何とか一日も早くと思っていたけど6年もかかってしまいました」としみじみ。同期の団野が昨年
高松宮記念と先月
マイルCSで既にG12勝、菅原明も今年
宝塚記念でG1ジョッキーの仲間入り。「団野、菅原がG1を獲っていたし、
マイルCSは自分が乗っていない中で本当に悔しい思いをしました」。仲が良く、切磋琢磨(せっさたくま)し合う同期の活躍が刺激にもなった。自身は今夏、武者修行でフランスへ。そんな岩田望に手綱を託した元騎手の上村師は「無難に乗るな、思い切っていけ。それだけ伝えた」とシンプルに指示。トレーナーの思いに応え、攻めの騎乗を貫いた。
アルマヴェローチェにとっても大きな勝利となった。上村師は「札幌(
札幌2歳S2着)に使った後はここを目標にした。いい状態だったと思うし、パドックの雰囲気も良かった。1800メートルしか走っていなかったけど、器用なのでカバーしてくれると思った」と狙い通り。マイルにも対応し、来春につなげた。
桜花賞(4月13日、阪神)は初コースになるが「札幌や今回、京都の馬場もこなしてくれてオール
マイティー。特に問題はない」ときっぱり。さらに「レースぶりから長いところが合いそう」とその先を見据える。まだキャリア3戦、伸びしろ十分の2歳女王が牝馬クラシック戦線をリードしていく。
◇岩田 望来(いわた・みらい)2000年(平12)5月31日生まれ、兵庫県出身の24歳。父は
JRA騎手の
岩田康誠。19年3月に栗東・藤原英厩舎所属でデビューし、現在はフリー。同30日に阪神5R・
ポップフランセで
JRA初勝利、22年
京都牝馬S(
ロータスランド)で重賞初制覇。
JRA通算4590戦503勝、うち重賞12勝。1メートル61、52キロ。血液型B。
アルマヴェローチェ 父
ハービンジャー 母ラクアミ(母の
父ダイワメジャー)22年2月15日生まれ 牝2歳 栗東・上村厩舎所属 馬主・大野照旺氏 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績3戦2勝(重賞初勝利)総獲得賞金8560万円 馬名は武器(イ
タリア語)+冠名
スポニチ