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【朝日杯FS】タイセイカレント90点 G1・6勝の父モーリス譲りの大きなスケール

スポニチ
  • 2024年12月10日(火) 05時30分
 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

 馬名通りの大成が約束されたボディーだ。鈴木康弘元調教師(80)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第76回朝日杯FS(15日、京都)ではトータルクラリティとともにタイセイカレントをトップ採点した。タイセイの姿に達眼が捉えたのはG1・6勝を挙げた父モーリス譲りの大きなスケール。その特徴を「大」の1字で表した。

 今年の世相を漢字1字で表す「今年の漢字」が12日、京都・清水寺で発表されます。全国から募集した候補の中から最多数を得た1字が選ばれますが、最有力視されるのは「金」。新紙幣の登場、裏金問題、マイナス金利解除、パリ五輪で日本勢が金メダル20個…と金に関わる出来事が多かった。「災」を挙げる向きもあるでしょう。能登半島地震に続く豪雨被害。パレスチナやウクライナでは戦災が深刻化しています。物価高騰に苦しめられた一年。「高」も有力候補でしょう。

 朝日杯FSの有力候補タイセイカレントの馬体を漢字1字で表すなら「大」。名は体を表すといいますが、“大成潮流(カレント)”の馬名通り、将来大成しそうな体つきです。父モーリス譲りの鎧(よろい)をまとったような分厚いトモの筋肉。強じんなトモのパワーを推進力に変える飛節も絶妙な角度です。前走サウジアラビアRCでは4角最後方から最速の上がりで2着。父譲りの後肢があの切れ味を生み出すのです。

 胴の詰まったマイラー体形も父譲り。モーリスはマイラー型の骨格でも疲れのたまりづらい柔軟な筋肉を生かして2000メートルのG1(天皇賞・秋)を完勝しました。タイセイもしなやかな筋肉を備えています。距離の融通も利くでしょう。

 馬体診断でモーリスに触れたのはG1に出走した4〜5歳時、精かんな顔つきでした。こちらは2歳馬だけに幼さが残る顔ですが、そう明な目をしています。顎っぱりの良さは父譲り。食欲旺盛なのでしょう。下半身に目を移すと、四肢の腱がしっかり浮き出ています。蹄の角度も良い。丈夫な下半身です。よく食べて、よく調教を積めるから立派なトモができるのです。

 ただし、キ甲(首と背中の間の膨らみ)はまだ抜けていません。首差しもすっきり抜け切っていない。成長途上の感は否めませんが、キ甲が発達すれば首差しも抜けてくるでしょう。モーリスがオープン馬になったのは4歳春。大器晩成の父親の血も体現している“大成潮流”です。(NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の80歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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