サウジアラビアRC覇者の
アルテヴェローチェ(牡2、栗東・
須貝尚介厩舎)、
京王杯2歳Sを勝利した
パンジャタワー(牡2、栗東・
橋口慎介厩舎)、京都で2勝を挙げている
ミュージアムマイル(牡2、栗東・
高柳大輔厩舎)らが参戦する
朝日杯フューチュリティステークス(2歳・牡牝・GI・京都芝1600m)。
2歳マイル王を決めるこの一戦を新進気鋭の“回顧派”予想家「Orfe」氏はどう見るか。前哨戦の分析を中心に展望する。
(文=Orfe)
◆前哨戦分析
朝日杯FSの主要な前哨戦3レースについて、私の提唱しているレースバイアス(展開・馬場などレース結果に影響を与えたであろうバイアスの総称で最も影響が大きい4角での位置取りを基に独自の基準で判定。以下RBと表記)に基づいて検証したい。
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サウジアラビアRC(GIII):『フラット』/逆バイアス好走馬=
タイセイカレント 外枠から先手を主張する
シンフォーエバーに対し、内から
マイネルチケットが譲らずテン3Fが34.0秒と7頭立てで少頭数ながら過去10年で最も速いレースの入りとなった。
外の
フードマンを意識したことや馬場状況もあり、緩みのないペースで直線へ。直線先頭争いを繰り広げた2頭が内で粘る中、後方待機で脚を溜めた2頭が差し切ったレース。
少頭数で有利不利の判断に確たるものがなく、
マイネルチケットが次走2着に好走しているためRBは『フラット』と判断。
(※RB『フラット』=着差0.2秒以内かつ上がり5位以内がSランク相当)
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京王杯2歳S(GII)
『内有利』/逆バイアス好走馬=
パンジャタワー・
クラスペディア スタート直後は掛かる馬が何頭かおり、先行争いが熾烈に見えたものの時計的にはテン3Fが34.9秒とむしろ緩いくらいのペースで先団を3頭が形成し、離れた4番手に
マイネルチケット。さらに1馬身ほど離れたところに5番手以降と4番手の
マイネルチケット以降は実質スローペース。
直線では離れた4番手を気分よく追走した
マイネルチケットが好位から抜け出しを図る中、外から
パンジャタワーが上がり最速で差し切ったレース。
クラスペディアは3コーナー入口では『内』で運んでいるものの、4コーナーでは『外』を回しており、私の理論では4コーナーの位置取りに着目していることから逆バイアス好走馬に該当となる。
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デイリー杯2歳S(GII)
『フラット』/逆バイアス好走馬=
ドラゴンブースト このレースは少頭数らしく緩いペースで流れ、上がり勝負に。最後方の
サウンドバッハを除けば馬群は凝縮したまま直線を迎え、速い上がりを繰り出せた3頭での決着。
RBは『フラット』であり、2着
ドラゴンブーストがSランク相当に該当となるが1:34.7と平凡な時計での決着に加え、勝ち馬の
ランフォーヴァウが阪神JFで11着と大敗となればレースレベル的には足りないか。
◆狙い馬、過大評価禁物の馬
これらを踏まえて
朝日杯FSで狙いたい馬は
タイセイカレント。
前述の通り前走の
サウジアラビアRCは『フラット』なRBでここで繰り出したパフォーマンスはSランクに相当する。
2走前の新馬戦は逃げて上がり最速で楽勝しており、前走はスタート直後に躓き後方からの競馬を余儀なくされながら今度は最後方から上がり最速で0.1差まで追い詰めた。スタートでの不利がなければどうなっていたかわからないし、走破時計も非常に優秀。
展開脚質不問でここ2戦のように直線でしっかり末脚を発揮できるのであればここは有力視したい1頭だ。
もう1頭ここで狙いたいのが
パンジャタワー。
前走の
京王杯2歳Sは『内有利』なRB。このレースで本馬は好スタートを切り、先団を窺うも外から進路をカットされ
ヒートアップする面も。それでも鞍上がうまくなだめ実質スローの展開を中団で脚を溜め、4角ではRBに反して大外を回りながら直線鋭い末脚を伸ばして快勝。
距離はまだ延びても問題ない印象で、父
タワーオブロンドンが3着に敗れたレースで父の雪辱を果たせるかに注目。
一方で過大評価禁物な馬としては
アルテヴェローチェを挙げておく。
こちらは
サウジアラビアRCの勝ち馬。狙い馬
タイセイカレントがスタート直後に不利があったのに対し、本馬は序盤こそ少し掛かってはいるものの控える判断が功を奏し、直線も離れた馬場のいいところをスムーズに末脚を伸ばすことができた。
走破時計こそ優秀なものではあるものの、数字以上に恵まれた面もありこれを鵜呑みにするのは危険だろう。
なお、今年度前走芝重賞においてRB『フラット』で1着となった馬の次走成績は1-0-0-7/8と奮わない。
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