日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は東京本社の高木翔平(34)が担当する。
地方競馬(南関限定)の短期免許を取得し、川崎を拠点にしていた
ミカエル・ミシェル(29)は20日が騎乗最終日。夢の実現へつながる充実した日々を過ごした。
4年ぶりに日本で騎乗していたミシェルは20日で短期免許が終了。ここまでの13勝(17日時点)は、自身が
地方競馬の短期免許歴代最多勝利数(30勝)を更新した20年よりペースを落としたが、来日直後の落馬など不運な面もあった。それでも、夢に向けての大きな収穫はあったはずだ。
最大の目標として公言するのは
JRAの通年免許取得。この4年間の全ては夢に向かって費やしてきた。「4年前はフランス語しか話せませんでしたが、
オーストラリアと米国で騎乗して英語を学びました。これは
JRAの筆記試験のため。これからは日本語をどんどんマスターしたい。以前の来日時は検量室でみんなが話している内容は全く分かりませんでしたが、少しは分かるようになりました」とミシェル。今は日本語を交えて関係者と会話し、取材対応中も必死にワードを探し出す。
JRAの2次試験で必要な“3つ目”の言語習得へ手応えがあった様子だ。
地方の関係者の計らいで今秋は
JRAでも
ベゴニア賞、
黒松賞の2鞍に騎乗。
ジャパンC当日の東京、中山で初騎乗を果たし、夢への思いはさらに強まった。「とてもすてきな経験でした。東京の雰囲気は最高でしたし、中山は奇麗で急坂はト
リッキーだった。またこの競馬場で乗りたいという気持ちになりました」と目を輝かせた。
地方競馬ではフランスではありえなかったファンの熱い応援も支えになった。「フランスのファンは馬券に熱中していますが、日本は馬と同じくらい騎手も応援してくれます。それが私にとっては凄くうれしいことでした」。今後は22日に日本を出発し、フランスで家族と
クリスマス休暇を取る予定。来年の予定は未定だが、夢にまた一歩近づいた3カ月間だったに違いない。
スポニチ