G1・22勝を誇る名トレーナーから見ても、
ドウデュースは異彩を放っている。02年に開業した友道師は08年
天皇賞・春の
アドマイヤジュピタでG1初制覇。そこからトップトレーナーへの道を突き進む。
ヴィルシーナが13&14年
ヴィクトリアマイル連覇。16年
マカヒキ、18年
ワグネリアン、22年
ドウデュースがダービー馬に輝き、
アドマイヤマーズは国内外のマイル路線で活躍するなど数々の名馬を育て上げた指揮官は早い段階から
ドウデュースの素質を感じ取っていた。
「2歳の頃から走る要素を持っていました。2戦目のアイビーSが明らかに太めでも勝ってくれて“これは能力がある”と思いました」
アイビーSは12キロ増の体重が示すように余裕を残した仕上げ。道中、行きたがるところを
武豊がなだめながら首差で勝ち切った。走るたびに想像以上のパフォーマンスを見せ、トレーナー自身も驚きを隠せなかった。同じダービー馬でも先輩2頭とは、またタイプが違う。「
マカヒキにしても
ワグネリアンにしても、いろんな体の不安が出てきたし、稽古の動きも“あれ?”っていう時もあった。
ドウデュースに関しては、いつ動かしてもいい。成績は波があるけど普段の様子を見ていると体調に波がない。こういう馬は今までいないですよね」。体質の強さが土台になっている。
唯一ゲートインできなかったのが昨年の
ドバイターフで、レース前日に左前肢ハ行で出走取消。帰国後、夏場の立ち上げが遅れ、なかなかエンジンがかからなかった。その点、今年は
宝塚記念の後、放牧先でしっかり乗り込み、休み明けから連勝。「去年とは臨戦過程が全然違う」とした上で「5月の遅生まれでもあり(5歳暮れの)今もまだ良くなっていると思う。
ハーツクライ産駒の成長力を改めて感じますね」と充実ぶりをアピールする。上昇カーブを描きながらラストランへ。「何とか最後にもう一つ獲らせてやりたい。勲章を手に次の仕事に進んでもらいたい」。まずは無事に――。その上で結果にこだわっていく。
◇友道 康夫(ともみち・やすお)1963年(昭38)8月11日生まれ、兵庫県出身の61歳。89年9月、栗東・浅見国一厩舎で厩務員となって11月から調教助手。96年に松田国英厩舎へ。01年に調教師免許を取得し、02年11月に開業。08年
天皇賞・春(
アドマイヤジュピタ)でG1初制覇。16年
マカヒキ、18年
ワグネリアン、22年
ドウデュースでダービー3勝。
JRA賞は18年に
最多賞金獲得調教師、20年に
最高勝率調教師を獲得。
JRA通算5148戦758勝(重賞71勝、うちG1・22勝)。
≪90年
武豊オグリ有終V≫引退レースとして
有馬記念に臨んだ馬は、創設元年の56年は
メイヂヒカリが1番人気に応え、90年
オグリキャップは同年
天皇賞・秋6着、
ジャパンC11着と振るわなかったが
武豊を背に奇跡のラストラン。03年
シンボリクリスエス、06年
ディープインパクト、13年
オルフェーヴル、14年
ジェンティルドンナは有終Vの後、引退式が行われた。
スポニチ