ファンに衝撃が走った。
有馬記念で史上3頭目の秋古馬3冠を目指していた
ドウデュースが20日、右前肢ハ行のため出走を取り消し、現役を引退することになった。レース後に開催予定だった引退式は中止。今後は北海道安平町の社台スタリオン
ステーションに移動して種牡馬入りする。ファン投票堂々の1位、日本中が注目していたスターホースが思いがけない形でターフを去る。
波瀾(はらん)万丈の競走馬生活だった。
有馬記念のファン投票で史上最多となる47万8415票を獲得した
ドウデュースがラストランの2日前、右前肢ハ行のため、出走を取り消した。
金曜午後3時前、栗東トレセンで友道師は報道陣の取材に対応。「水曜に追い切りを行って、その後も変わりなかった。金曜は普通にキャンターで乗って、プールに行こうとした時にちょっと歩様がおかしくなった」と悲痛な表情を浮かべながら状況を説明。「これだけの馬、この後も大きな仕事があるのでオーナーと相談して決めました」と明かした。
武豊とのコンビでG15勝を挙げたスターホース。22年のダービーで世代の頂点に立ち、秋には
凱旋門賞(19着)に挑戦した。翌春の
ドバイターフはレース直前で左前肢ハ行のため出走取り消し。帰国後の秋G1でも結果が出なかったが、昨年の
有馬記念で復活Vを飾った。今年の
宝塚記念は1番人気6着。栄光と挫折を味わいながらも懸命に走る姿が、多くのファンを勇気づけた。
この秋は天皇賞、
ジャパンCを連勝。史上3頭目の秋古馬G13冠を狙って暮れの大一番を目指してきた。指揮官は「ファンの皆さまに申し訳ない気持ち。それが一番。木曜に枠番抽選会もあり、次の日にこんな形で発表となって申し訳ない。自分からもそろそろ引退かなと。最後の最後まで
ドウデュースらしいかな」。その目には涙が浮かんだ。
主戦の
武豊には電話で報告。「“仕方ないね”と。来年
ドウデュース以上の馬で頑張りましょうということと、4年後
ドウデュースの産駒が入ってくると思うので、その時またお願いしますという話をしました」と互いに前を向いた。
有馬記念のレース後に予定されていた引退式は中止。友道師は「夏の函館、札幌のパドックとかでお披露目式ができればいいなという話はオーナーと相談しています」と、再びファンの前に姿を見せる機会も模索している。25日には福島県のノーザン
ファーム天栄へ。そこから北海道安平町の社台スタリオン
ステーションに移動して種牡馬入りする。競馬史に刻まれた激動の3年3カ月、16戦8勝。記憶にも記録にも残り、多くのファンの心をつかんだ
ドウデュース。今後は種牡馬として、新たな名馬を送り出していく。
≪13年
エイシンフラッシュも≫
有馬記念の出走回避→引退のケースに13年
エイシンフラッシュがいる。最終追い切りを行った翌日に右前球節部捻挫が判明。出走を回避、そのまま現役を引退して種牡馬入りした。
有馬記念翌日の中山での引退式は、一度は中止と発表されたが、予定通り行われた。
◇ハ行 歩様に異常をきたしている状態。ハ行の原因には、骨、腱、関節、筋肉、神経などの異常が考えられる。歩き方が普段と違う時は、状態に何か問題が起こっている可能性があるという
サインにもなる。
スポニチ