年内最後の関西重賞「第19回阪神C」が21日、京都競馬場で行われた。全国リーディングを確定的とした
クリストフ・ルメール(45)騎乗の1番人気
ナムラクレアが大外から差し切って快勝。23年
キーンランドC以来、1年4カ月ぶりの勝利で重賞は5勝目となった。悲願のG1制覇へ向けて、2年連続2着の
高松宮記念(3月30日、中京)に直行する見込み。
役者が違うと言わんばかりの大外一気。
ナムラクレアが惜敗続きの鬱憤(うっぷん)を晴らすようにラ
イバルをなで切った。極上の切れ味。ゴールの瞬間、新コンビのルメールも思わず笑みがこぼれた。「凄い瞬発力!この馬でG1を勝つことができると思う」。お立ち台では最大級の賛辞が飛び出した。
前半34秒5とよどみのない流れ。人馬は好発から序盤は折り合いに専念して後方で力をためた。直線半ば、3番手からG1馬
マッドクールが完全に抜け出したが、名手は焦らない。「道中の手応えも良かったし、右回りで少し内にもたれたけど、直線で我慢して大外に出してからはいい反応だった」。仕掛けをワンテンポ遅らせて引き出した剛脚は上がり3F33秒3。先行勢が止まって見えた。
ルメールはこれが今年の
JRA173勝目で、次位の川田(139勝)とは34勝差に。開催はあと2日を残すのみで、全国リーディングが確定的となった。「ケガで2カ月乗れなくてアップダウンのある1年だったので凄くうれしい。
イクイノックスがいなくて寂しかったけどね…」とはにかんだのち、「あと2つG1があるので集中したい」と気を引き締めていた。
現役146人目の
JRA通算100勝(1386戦目)の
メモリアルを重賞で決めた長谷川師も「初騎乗でクレアの能力をしっかり引き出してくれた」と鞍上に最敬礼。2年連続2着と涙をのんだ
高松宮記念に直行する予定を明かした上で、「クレアは厩舎を引っ張ってくれる存在。全く衰えていないことを示せた。来春、もう1回チャレンジしたい」と悲願のタイトルへ気合をみなぎらせた。優勝請負人のルメールも「G1は彼女の目標」と胸を躍らせる。来年、
高松宮記念が行われる3月30日はクレアの誕生日。きっと、G1初制覇の記念日にもなる。 (田井 秀一)
ナムラクレア 父
ミッキーアイル 母サンクイーン2(母の父ストームキャット)19年3月30日生まれ 牝5歳 栗東・長谷川厩舎所属 馬主・奈村睦弘氏 生産者・北海道浦河町の谷川牧場 戦績20戦6勝(重賞5勝目)総獲得賞金5億9290万6000円 馬名の由来は冠名+女性名より
スポニチ