64年ぶりに歴史が動いた。24年
中央競馬の総決算「第69回
有馬記念」が22日、中山競馬場で行われ、
レガレイラが
シャフリヤールとの追い比べを制してG1・2勝目。1960年
スターロツチ以来、有馬史上2頭目となる3歳牝馬Vを成し遂げた。初コンビで快挙へ導いた
戸崎圭太(44)は14年
ジェンティルドンナ以来、10年ぶり2度目の有馬V。スポニチ本紙に独占手記を寄せた。
5万人を超える大観衆が歴史の目撃者となった。内
レガレイラ、外
シャフリヤール。ゴール直前、2頭が並んで叩き合う。互いに譲らず馬体を並べてゴール。写真判定に持ち込まれた。半信半疑の表情で引き揚げてきた戸崎。出迎えた陣営の声に「本当に?本当に?」と確認すると、馬上で両手を突き上げた。「(ゴールの瞬間は)全く分からなかった。引き揚げてきて“勝ってる”と聞いたので」。直後に1着が確定すると歓喜の余韻に浸った。
スタート直後、二の脚を利かせて好位へ。主導権を握った
ダノンデサイル、
ベラジオオペラの2頭を見ながら進めた。道中で外から進出するラ
イバルにも動じずポジションをキープ。4角を回り終えたタイミングで前が奇麗に空くと鋭く反応。先行勢を捉え、外から迫る
シャフリヤールを3歳牝馬らしからぬ勝負根性で鼻差退けた。戸崎は「ゲート裏まで落ち着いていて雰囲気は良かった。優しい馬だけど勝負どころでは強さを感じた」と振り返った。
初タッグの相棒を見事64年ぶりの偉業Vへエスコート。戸崎は「(記録は)話題にもなっていたので気にしていた。
レガレイラが素晴らしさを証明してくれた」と手放しで愛馬を称える。自身にとっても10年ぶり2度目の
グランプリ制覇。「ずいぶん日がたったのでうれしい」と久々のGP勝利の味をかみしめた。
レガレイラにとっては昨年の
ホープフルS以来のG1・2勝目。3歳を迎えた今年は牡馬クラシック路線に挑戦するも
皐月賞6着→ダービー5着と敗退。今秋も
ローズS、
エリザベス女王杯で連続5着と力を発揮し切れないレースが続いた。「この1年、
レガレイラをなかなか本来の走りに導けなかったが、最後に彼女の走りを披露できてホッとしている」と木村師。思い出のG1初制覇を決めた中山で見事な復活。「1年前の彼女と違って、落ち着いていて頼もしく見えた。
シルエットを見てずいぶんお姉さんになった」。レース当日朝、中山競馬場に送り出す際に感じた愛馬の成長は本物だった。
G1・5勝
ドウデュースが去ったターフに誕生した
ニューヒロイン。戸崎が「可能性しかない。まだ成長して、いろんなところで活躍してくれると思う」と話せば、指揮官は「来年は彼女が
中央競馬を引っ張っていくことになると思う。それを体現できるように彼女をサポートしていきたい」と締めくくった。歴史を塗り替えた
レガレイラの、新たな挑戦が始まる。
≪9番人気の激走≫64年前に初めて3歳牝馬として
有馬記念を制した
スターロツチ(
父ハロウェー)は、同年の
オークス馬ながら強豪がそろった有馬では9番人気。先行して早め先頭の積極策で
コダマ(同年
皐月賞、ダービー)、
キタノオーザ(同年
菊花賞)、
コマツヒカリ(59年ダービー)など牡馬の強敵を寄せ付けず押し切った。
▽1960年「ダッコちゃん」大ブーム
スターロツチが
有馬記念を制した1960年は腕に絡めるビニール製の人形「ダッコちゃん」が大ブーム。カラーテレビの本放送が開始された。高度経済成長期で池田勇人内閣が閣議決定した「国民所得倍増計画」が流行語に。一方で日米安全保障条約の改正に反対する「安保闘争」が激化。社会党の浅沼稲次郎委員長が演説中に襲われ刺殺される事件も起こった。
◆
レガレイラ 父
スワーヴリチャード 母ロカ(母の父
ハービンジャー)21年4月12日生まれ 牝3歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績8戦3勝(重賞2勝目) 総獲得賞金6億3438万1000円 馬名の由来は
ポルトガル中西部の都市シントラにある宮殿。
スポニチ