「チャンピオンズＣ・Ｇ１」（７日、中京）

　３番人気のダブルハートボンドはゴール前の大激戦を制し、Ｇ１初制覇を果たした。牝馬Ｖは１５年サンビスタ以来、１０年ぶり２頭目の快挙。鞍上の坂井瑠星騎手（２８）＝栗東・矢作＝は２３、２４年のレモンポップに続き、３年連続の勝利だった。２着に惜敗した２番人気のウィルソンテソーロは３年連続の銀メダル。３着には７番人気のラムジェットが入り、１番人気の３歳馬ナルカミは１３着に終わった。

　世界の頂点を知る若武者に導かれ、砂の女王が誕生だ。３番人気のダブルハートボンドが好位追走から直線で抜けだし、Ｇ１初勝利。牝馬の勝利は１０年ぶり２頭目。２３、２４年のレモンポップに続く自身３連覇を果たした坂井は「素晴らしいのひと言。ここまで順調ではなく、牝馬でＧ１までたどり着くのもすごいのに、勝つんですから。僕の３連覇より、この馬で勝てたのがうれしいです」と喜びをかみしめた。

　好スタートを決め、すんなり２番手へ。２コーナーで外からシックスペンスが進出してきたが、「あれ以上行くとオーバーペース」と３番手の外で脚をためた。そして抜群の手応えで直線へ。残り３００メートルで先頭に立つと、ラストは内から猛追したウィルソンテソーロとの壮絶なたたき合いを鼻差しのぎ切った。

　「４コーナーまでスムーズで、反応もしっかりしてくれて、これで負けたら仕方ないという感じ。最後は一番怖い馬がやっぱり来て、（ゴール板では）全く分からなかった」と胸をなで下ろした坂井。見守った大久保師も「ゴールの瞬間は２着かなとがっかりしたけど、前に出ていることが分かって素直にうれしかったですね」と笑顔を見せた。

　デビューは３歳の８月。体質や脚元の弱さから大事に使われながらも、破竹の５連勝でオープン入りし、前走のみやこＳはＪＲＡレコードで重賞初Ｖを飾った。今回はそこから中３週。間隔が詰まるなかでも「追い切りの動きはもうひとつかなと思いましたが、最終追い切り後にガラッと変わって、これならいけると思いました」と師。驚異の回復力と圧倒的なポテンシャルで、デビューから１年４カ月で砂の頂点にたどりついた。

　坂井が「ダート馬にしてはスピードがあり、勝負根性もすごい」と言えば、大久保師も「牡馬相手でも気後れせず、自分の方がすごいと思っているかもしれないですね」と高い能力と気持ちの強さを絶賛する４歳牝馬。今後は未定だが、ダート界の女帝として新たな歴史を築き上げていくはずだ。

提供：デイリースポーツ