2026年度の調教師免許試験(新規)の合格者が11日、発表された。JRA・G1を勝ち、JRA通算1000勝以上をマークしている
藤岡佑介騎手(39)=栗東・フリー=は30歳で調教師転身を描いていた。
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「フランスに行ってなかったら、早くにジョッキーを辞めていたでしょうね」。藤岡佑の分岐点はデビュー9年目だった。
JRA賞最多勝利新人騎手を獲得したが、成績が伸び悩む時期も。27歳。仏語を勉強し、長期修行へ身を投じた。「腐りかけていた。何か変えたいという気持ちで行ったけど、改めて日本で騎手をやれている価値を感じた。熱量のあるお客さんの前で競馬をできる。それが本当にすごいことなんだと。もっと頑張りたい、G1を勝ちたいと思った」と振り返る。
デビューしてすぐ「いずれは調教師に」と聞いて驚いた。30歳の転身を描いたが、騎手人生は39歳まで延びた。調教師転身の背景には弟の落馬事故もあるのだろうか-。そう問うと「調教師をやりたい気持ちはずっとあったので、康太が落馬する前から準備をしていました。きっかけではないけど、それ以降はより無事に引退できるように、という気持ちが強くなった」と口にする。合格した兄貴の姿に、天国でホッとしているかな。
騎手仲間から立場が変わっても、四位師、武英師、長谷川師と談笑する姿はほほ笑ましく映る。「それぞれが調教師になる時に“あとに続きたいと思ってもらえるように頑張る。俺らが楽しそうにできていたら、目指したらいいんちゃう?”と言ってくれて。自分も続いて、ジョッキーを育てられるような、還元していく立場になればいいなと思う」と先輩を慕う。
札幌出張で何度か食事に誘ってもらった。その時の言葉が忘れられない。「せっかくだし、井上さんが普段話すことがない関東のジョッキーを連れていきますね」。気配りや、人と人のつながりを買って出る姿も、調教師向きなんだろうなと感じる。ユースケ、おめでとう。(デイリースポーツ・井上達也)
提供:デイリースポーツ