2歳マイル王者決定戦「第77回
朝日杯フューチュリティS」が21日、阪神競馬場で行われ、2番人気
カヴァレリッツォが中団待機から直線イン強襲し、力強く差し切った。鞍上のクリスチャン・デムーロ(33)は昨年の
エリザベス女王杯(
スタニングローズ)以来となる
JRA・G16勝目となり、
福永祐一(現調教師)、
ミルコ・デムーロ、
川田将雅に続く史上4人目の
JRA2歳G1完全制覇を達成。また、
サートゥルナーリア産駒は、うれしい
JRA・G1初勝利となった。
敗戦を糧に才能あふれる走りを見せつけた。
カヴァレリッツォが直線、インを突いて馬群を割るも前方にはもう1頭。押し切り態勢に入った
ダイヤモンドノットを目標にギアを上げていく。脚色が鈍ったラ
イバルを逃さず、ゴール前できっちり差し切った。指を突き上げて喜びを爆発させたC・デムーロは「本当に強い。めっちゃ元気」と満面の笑み。頭差2着に敗れた前走デイリー杯2歳Sからのコンビ継続で、
アドマイヤクワッズにもリベンジを果たし2歳マイル王者に導いた。
道中は中団でパートナーをなだめながらの追走。直線に入ると前で馬群が密集し、スペースが見当たらない。それでも人馬とも冷静だった。「前回に乗った時は馬を怖がったり外に逃げたりして幼い面を見せていたけど、今回はそういう悪い面がなくなり、プロフェッショナルな動きをしてくれた」と回顧。操縦性が増したことで能力をフルに発揮できた。「短期間でも修正できた。厩舎の方のおかげだし、彼のポテンシャルでもある」と絶賛した。鞍上はこの勝利で史上4人目となる
JRAの2歳G1完全制覇。兄ミルコも達成している偉業を成し遂げた。
昨年の
宝塚記念(
ブローザホーン)に続く2度目の
JRA・G1勝利を飾った吉岡師にとって喜びもひとしお。角居厩舎の調教助手時代に父
サートゥルナーリアを担当した経験がある。「(父は)凄く扱いやすく調教で手がかからない。父譲りの
スピードも含めて似ていると思います」と姿を重ねた。思い入れのある父に産駒のG1初タイトルをプレゼント。父に携わった経験が今に生きている。
2歳マイル王者の称号を得て、今後の期待は膨らむばかり。キャリア3戦は全てマイル戦だが、来年はクラシックも視野に入るだろう。C・デムーロが距離延長について「もう少し落ち着きが出てくれば、2000メートルでも対応できると思う」と口にすれば、吉岡師も「走ってみないと分からないけど、調教からは2000メートルまでは大丈夫だと思っています」とうなずいた。
サートゥルナーリアは18年
ホープフルSで2歳G1のタイトルを手にし、3歳初戦の
皐月賞も制した。偉大な父に追いつけ追い越せ。吉岡厩舎は27日の
ホープフルSにも同産駒
ジャスティンビスタがスタンバイ。同世代の僚馬に最高の形でVバトンをつなぎ、厩舎はさらに活気づいていく。
《今年
JRA・G1でノーザンF12勝》生産牧場ノーザン
ファームは先週の
阪神JF(
スターアニス)に続く、今年の
JRA・G112勝目。中島文彦ゼネラルマネジャーは「進路に内を選択したのは、さすがクリスチャン!この馬場だから時計も速いんじゃないですか」とレースを回顧し、「
サートゥルナーリア(産駒)の初勝利じゃないかな。それもうれしい」と種牡馬にスポットが当たることを喜んだ。1歳に父
ロードカナロア、当歳に父
リオンディーズの妹がいて、
母バラーディストは現在
ジャスティンミラノの子を受胎中。
《シルクR今年5度目
JRA・G1制覇》馬主のシルクレーシングはチャンピオンズC(
ダブルハートボンド)に続く、今年5度目の
JRA・G1制覇。米本昌史代表は「素晴らしいメンバー相手なので価値のある勝利だと思います。ちょっと興奮しました。うれしいのひと言です」と心境を口にした。勝因に
カヴァレリッツォの瞬発力と鞍上C・デムーロの好判断を挙げ、来春のクラシック戦線の話題には「メンタルの成長があれば距離の融通性も見込めると思います」と展望した。
カヴァレリッツォ 父
サートゥルナーリア、
母バラーディスト(母の
父ハーツクライ)23年2月28日生まれ 牡2歳 栗東・吉岡厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザン
ファーム 戦績3戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金9362万4000円 馬名はイ
タリア語で曲馬師、母名より連想。
スポニチ