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【有馬記念】ダノンデサイル唯一の満点評価 漂う風格、驚異的成長でいざ昨年の雪辱

スポニチ
  • 2025年12月23日(火) 05時15分
 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

 グランプリをリードする“3強”ボディーだ。鈴木康弘元調教師(81)がG1出走予定馬の馬体を診断する「達眼」。今週は有馬記念スペシャルとして5つのチェック項目(各20点満点)で出走全16頭を採点する。昨年3着のダノンデサイルが唯一の満点評価。1年間で驚異的な成長を遂げた24年ダービー馬が、25年中央競馬を締めくくるか。昨年覇者レガレイラ、3歳馬ミュージアムマイルも95点と高評価した。

 サラブレッドは1年で驚異的な成長を遂げることがあります。特に急激な成長曲線を描くのが3歳から4歳にかけての1年。3歳暮れは人間の18歳前後で、4歳暮れは25歳前後。平均寿命が人間の4分の1にも満たない馬にとってはこの1年間が人間の7年分にも匹敵するのです。

 それにしてもダノンデサイルの成長ぶりには驚かされました。3歳で挑んだ昨年の有馬記念以来の馬体診断。当時も筋肉量が豊富でしたが、4歳暮れになって筋肉のボリュームに強度が加わった。鋼のように強い筋肉が備わっています。特に尻から臀部(でんぶ)にかけたトモの部分と首の付け根の筋肉が凄い。推進力を生み出す後肢とそれを受け止める前肢の起点が見違えるほどパワーアップしています。

 心身一如。馬体の進化に合わせて気性も成長した。昨年暮れの幼い顔つきが精悍(せいかん)になっています。気負いのない立ち姿には風格さえ漂っている。前走ジャパンCでは戸崎騎手がゴール後にカラ馬(アドマイヤテラ)を避けようとして落馬するアクシデント。そのダメージも全く見られません。旅は人を成長させるといいますが、馬も成長させる。今年、ドバイ、英国へ渡航し、見知らぬ土地で調教、レースを重ねた経験がハートを成長させたのでしょう。

 有馬記念の馬体診断は5つの項目で採点。ダノンデサイルは強度を上げた「筋肉」、気性の成長をうかがわせる「表情&姿勢」とも満点(20点)としました。首が少し短く太い中距離型の「骨格」も中山2500メートル戦に対応可能で満点。栗色の被毛が輝き、腹はすっきり仕上がっているため「毛ヅヤ&腹周り」も満点です。

 「プラスα」は人間の18歳に当たる3歳暮れから25歳に相当する4歳暮れまでの大きな成長カーブ。競馬好きのアスリートに例えるなら…。甲子園の優勝投手となった後、18歳で入団した楽天を25歳で初の日本一に導いた田中将大投手(巨人)。ダービーを優勝した後、3歳暮れに初挑戦したグランプリを4歳暮れに勝って日本一へ。ダノンデサイルは5項目オール満点。マー君のプロ入り7年間の進化に匹敵する驚異的な成長を1年間で遂げました。(NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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