「第30回
マイルCS・GI」(芝1600m)は17日、京都11Rに18頭で争われ、マイル初参戦となった2番人気の
トーセンラー(栗東・藤原英)が、後方待機策から末脚爆発。先行各馬を直線半ばで並ぶ間もなくとらえると、最後は後続に1馬身差をつける完勝で初のGIタイトルを獲得した。勝ちタイムは1分32秒4。2着は好位のインから抜け出した3番人気の
ダイワマッジョーレ、さらに3/4馬身差の3着には1番人気の
ダノンシャークが入った。
競馬界のスーパースターにまたひとつ、大きな勲章が加わった。不世出の天才ジョッキー・
武豊が、史上初となるGI通算100勝の大記録を打ち立てた。「長年かけて積み重ねてきた数字ですからね。これに関しては素直にうれしいです」。観客席から「100勝おめでとう!」と祝福の声が飛ぶと、すらりとした手を伸ばしてファンに応えた。
コンビを組む
トーセンラーはこれが初のマイル戦。距離への対応が鍵だったが、百戦錬磨の名手は「1600mに合わすのではなく、ラーに合わせた競馬をするつもりだった」と柔軟に構えたが、満点をつけられるほど、会心の騎乗だった。
“一戦必勝”を厩舎のモットーとして掲げるトレーナーの戦略が見事にはまった。「やってみないと分からない部分はあったが、(マイルに)対応できるように訓練してきた。馬も人も
パーフェクトだったね」と藤原英師は笑顔をはじけさせた。「賛否両論あっただろうけど、スタッフを信じて、馬主さんが理解して、
武豊が馬を信じて勝ち取った勲章です」と胸を張った。
今後については流動的ながら、生産者で社台
ファームの吉田照哉代表は「無理はしないけど、
有馬記念(12月22日・中山、芝2500m)に登録だけはしよう、と話をした」と発言。頂点に立ったマイル戦はもちろん、これまで同様に中長距離路線も視界に入れていく構えだ。スピードとスタミナを併せ持つ5歳馬はどんな選択肢をたどっていくのか。興味は尽きない。
提供:デイリースポーツ