不屈の闘志が暮れの中山を熱くする。左前浅屈腱炎で1年5か月ぶりの休養を余儀なくされた
ウインバリアシオン。GI2着2回の実力馬に、再びスポットの当たる時が訪れた。
復帰戦の
金鯱賞で3着。「馬体重は30キロ増えていたけど、数字ほど太くはなかった。背が伸びて成長していたからね。後ろから追い込んでの3着。よく頑張ったよ」と竹邑厩務員は愛馬をねぎらう。レース翌週の火曜から調教を開始。反動は見られず、ここまで順調にメニューを消化してきた。
2年前のダービー、
菊花賞で2着。常に前を走っていた
オルフェーヴルと、引退戦で再び対決する。05年
桜花賞馬
ラインクラフトなど、数々の名馬を担当した腕利きは言う。「その前に自分との闘い。脚元に爆弾のある馬だから。ゲートまで無事に行って、それから初めてオルフェと戦いだね」。
無事が一番とはいえ、
ビッグタイトルへの渇望は強い。「
サダムパテック、
トーセンラー、
ベルシャザール。同世代がGIを勝っている。ほしい気持ちはやまやま」と偽ざる心境を明かす。父は05年
有馬記念で
ディープインパクトを撃破した
ハーツクライ。体内に流れる“3冠馬
キラー”の血が騒ぐ。