完敗だった。だが、指揮官の表情はどこか晴れやかだった。2番人気の
ゴールドシップは
オルフェーヴルに1秒5差をつけられての3着。「オルフェは強かったね。1回でも戦えたことを感謝したい」と須貝師は勝者をたたえる。新コンビのムーアも「きょうの(ような)馬場は合っていないのかも。ただ、それよりも勝った馬が強過ぎた」と脱帽した。
道中は
オルフェーヴルを真後ろに従える形で運び、勝負どころで早めに仕掛ける。しかし自身の外を勢い良くまくって行った大本命馬の背中は直線では遠ざかり、
ウインバリアシオンの後じんも配した。「一瞬、詰まったところもあるし、勝つのはともかく2着はあったかもしれない」と師はムーアの言葉を代弁しつつ振り返る。
ジャパンC15着の雪辱へ向けてジョッキー交代にブリンカー装着など、中間はなりふり構わず復権に腐心してきた。「今回は負けたけど収穫はあったよ」。
有馬記念の連覇こそ逃したが、闘志を取り戻した芦毛の4冠馬の頑張りに目を細めた。
最初で最後の“黄金対決”は先輩に軍配が上がったものの、バトンはしっかりと受け継いだつもりだ。「来年は
凱旋門賞を視野に入れながら調整していく」。オルフェも到達できなかった世界の頂を目指し、黄金の船は意気揚々と帆を掲げる。
提供:デイリースポーツ