「第74回
皐月賞・GI」(芝2000m)は20日、中山11Rに18頭で争われ、2番人気の
イスラボニータ(美浦・栗田博)が、鮮やかに抜け出し牡馬クラシック第1弾を制した。道中は中団で脚を温存。抜群の手応えのまま直線に向くと、蛯名のアクションに応えるようにグングン脚を伸ばし、2着以下に1馬身1/4差をつける完勝劇を演じた。勝ちタイムは1分59秒6。1番人気の
トゥザワールドは3番手から抜け出しを図ったが、勝ち馬の勢いに圧倒される形で2着に敗戦。さらに半馬身差の3着には、果敢にハナを奪った8番人気の
ウインフルブルームが粘り込んだ。なお、4着
ワンアンドオンリー(4番人気)までの上位4頭が、ダービー(6月1日・東京、芝2400m)への優先出走権を獲得した。
「中山は初めてで対戦していない馬もいたが、馬を信じて乗った。新馬戦以来の折り合い(のつき方だった)だった」。勝因を聞かれた蛯名は、何度も“折り合い”のフレーズを繰り返した。
父フジキセキ×母の
父コジーンというスピード色の濃い血統。それでも、やんちゃな気性を爆発力に変えてつかんだ1冠目。「次にもう1本ある。そこへ向けて頑張りたい」と鞍上は早くもダービーへ思いをはせる。
80年の開業以来、34年かけてようやくクラシックを手に入れた栗田博師も万感の表情を浮かべる。「車の中でスティービー・ワンダーの『心の愛』を聞いてきた。
タレンティドガールが(87年
エリザベス女王杯を)勝った時にもらったCDです」。
『心の愛』が84年に発表された直後は厩舎の絶頂期。86年ダービーで
グランパズドリームが2着、93年
天皇賞・秋を
ヤマニンゼファーが制した。久々に訪れた頂点への道。だが、すっかり円熟味を増したトレーナーはニヤリ笑ってつぶやいた。「トシを取ったせいか、自然体が一番。プラス2F(の距離)をうまく克服してくれれば…」。6週間後の大一番でホースマン最高の栄誉を狙う。
提供:デイリースポーツ