3歳馬の頂上決戦「第81回ダービー・GI」(芝2400m)は1日、東京10Rに17頭(
ウインフルブルームは出走取消)で争われ、3番人気の
ワンアンドオンリー(栗東・橋口)が、11年に誕生したサラブレッド7123頭の頂点に輝いた。後方待機策のこれまでとは一転、好位のインでじっくり末脚を温存。直線で馬群の中から抜け出すと、鞍上・横山典の仕掛けに反応良くスパート。押し切りを図る1番人気の
皐月賞馬
イスラボニータ(2着)の外から襲いかかり、壮絶なたたき合いとなったが、3/4馬身差で抑え込み栄光のゴールを駆け抜けた。管理する橋口師はこれまでダービーでは2着4回と、あと一歩手が届かなかったが、ついに悲願のダービー制覇となった。勝ちタイムは2分24秒6。さらに、1馬身半差の3着には12番人気の
マイネルフロストが入線。なお、2番人気の
トゥザワールドは直線で伸び切れず5着に終わった。
これぞノリ。大一番での
スタイル変更。「絶対にスローになる」。スタート後に手綱をしごいた横山典は5番手を確保。直線は我を忘れて追い続けた。「後輩にはいつも“下を向いて追うな”と言っているのに、下を向いていたよ」と46歳のベテランは恥ずかしそうに笑う。「橋口先生が勝つラストチャンスかもしれなかった。良かった」と喜んだ。
表彰式に現れた橋口師を、14万人の観客からの暖かい“橋口コール”が包む。「ダービーは格別やね。(何度も悔しい思いをしてきて)もう涙は枯れたけど、地に足がついていない。後にも先にもこんなことはないよ。ほかの大レースも勝たせてもらったけど、やっぱり違うね。もう(調教師を)やめてもいいくらい。競馬人生最高の日だよ」。
ワンアンドオンリーが栗東に初入厩し、ちょうど1年後の14年6月1日。ダービー制覇という師の夢に日付が刻まれた。「もっと鍛え直して、(海外に)挑戦できる成績を残して行ければ最高だね」。
父ハーツクライは06年に英国の
キングジョージに挑戦し3着。夢の続きは父子2代の英国遠征で。橋口師は唯一無二の壮大な目標に向かって走り続ける。
提供:デイリースポーツ