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ゴールドシップに騎乗予定の
横山典弘騎手――今日の追い切りはいかがでしたか?
「今日で3回目。動きはよかったです。」
――追い切りの指示は?
「前に2歳を置いて、手ごたえ見て追ってくれ、というかんじでした」
――かなり手ごたえがあったように見受けました。状態はいかがですか?
「本当に順調ですね。それに尽きます。」
――この3週で
ゴールドシップの様子に変化はありましたか?
「もともと走る能力はすごい馬ですからね。3回乗って、自分の中では人と馬とのコンタクトが滑らかになったという感じがしますけれどね。」
――2週前に比べて横山さん自身の心境の変化は?
「初めて乗ったとき、悪い馬だと聞いていたので。僕も乗っていておっかなびっくりだったんですけど。こわいというより、何をするのかわからないという感じで。向こうもそんな感じでした。僕も手探り、向こうも手探りだったんですけど。でも、先週、今週とそのへんが少し打ち解けたんじゃないかな、と。攻め馬(調教)では。そんな感じがしました。」
――今朝、調教を終えたあと、
ゴールドシップに積極的に触ってスキンシップをしていましたね。
「もう本当にね。僕がどうのこうのする馬じゃないです。お願いする立場ですから。まともに走ってくれれば皆さん知っているとおり、すごい能力を持っていますから。そのへんがね、気分が向くか向かないかでだいぶ違うと思うんで。何か押し付けてやってくれ、というのではなく、僕が『お願いします』っていうかんじで
ナデナデしていました。」
――初めて乗ったときはどんな感じがしましたか?
「初めて乗せてもらったときには、自分の中のイメージとはずいぶん違うな、と思いました。いいほうのイメージで。これは言葉で伝えるのはなかなか出来ませんが。自分が思っているのとは違う意味で“いいな”という感じはしました。」
――横山さんがこれまで乗ってきたタイプとは違いますか?
「そういうことではなく、馬はみんな違うわけで。(
ゴールドシップは)皆さんが思っているようなタイプではないというだけで。僕はいままでいろんな馬に乗ってきて、ああしたこうしたと思われていますが、ある意味この馬はお願いする立場なんだな、というような感じがしました。」
――これまで調教で3回乗ってきて、変わりましたか?
「1回目よりは2回目、3回目。今日のほうが感じ的にはよかったです。もうこれは(言葉にするのは)すみません、わからない。じゃぁ、本番でそんなふうになるのか、というのも…どうなるかは(クビをふる)。」
――
ゴールドシップをひと言でいうと?
「賢い馬です(即答)。試されているという感じはしますね。」
――この3週間、追い切りでは一度も鞭を入れませんでしたが、その理由は?
「叩く意味がない。なぜ叩くんですか?一生懸命走っている馬を叩く意味がない。調教ですからね。本当に賢い馬なので、気分を害さないためにもステッキなんて入れない。」
――先週まで息遣いを気にされていましたが、そのあたりは?
「強いてあげれば、細かく気にすればという程度だったので。最初のときもそうでしたし、それなりに攻め馬も普通では出ない時計ですから。息が悪いというよりも、3回乗ってみてこういう息遣いなのかな、というかんじでした。厩務員さんも心配ないと言っていたので。」
――レースに向けて、不安はありますか?
「不安といえば全部不安ですし。まぁ、本当に…わからないです。具合がいいのはいいですから、走る態勢にはあると思いますけど。天皇賞の雰囲気になっちゃうと走れない、走らないほうに向いてしまうだろうから。こればかりは当日になってみないと。
でも、まぁ今はいろいろ順調にきてるんで。いいなって感じがしますけど。あとはまたがってみて、返し馬行って、ゲート行って、出てみて、という感じですね。」
――ファン投票1位ですね
「それはもうありがたいかぎりです。皆さんに選んでいただいて1位の馬に乗れるというのは、はい。騎手冥利に尽きますね。」
――ラ
イバル関係はいかがでしょうか?
「ラ
イバル関係とか(苦笑)、そういうのは本当になにもない。もう、彼と僕との、もう…なんていうのかな、彼次第、
ゴールドシップ次第です。はい。」
――レースのポイントも彼次第ですか?
「はい。」
――どんなパフォーマンスをみせたいですか?
「あの…僕も、
ゴールドシップのパフォーマンスを乗って、みせてもらいたいです(笑)。ほんとに馬の邪魔をしないように、僕が馬の気分を損ねないように。そこが僕の仕事だと思っているので。いかに
ゴールドシップの走りやすい雰囲気に持っていけるかというのが僕のやることで。あとは彼さえちゃんと走ってくれれば結果は出ると思います。
ゴールドシップの凄さのパフォーマンスを感じられればいいな、と思います。」
――最後にファンにひとことお願いします。
「これだけの馬ですからね。がんばってもらいたいと思っています。応援よろしくお願いします。」
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ゴールドシップを管理する
須貝尚介調教師
――今朝の調教はいかがでしたか?
「もうね…、僕から何も言うことがないんですよね。」
――何も言うことがないとは?
「典ちゃんと
ゴールドシップって…、その動き、その雰囲気に…言うことがない。」
――今朝の指示は?
「2歳の新馬(
ブラヴィッシモ)が来週競馬を予定しているので。そこそこの時計を出して欲しいとお願いしました。本当に今日の
ゴールドシップは僕からは何もいうことがないくらい素晴らしい動きでした。
――その動きについて、横山騎手から報告は?
「彼の報告というか、なんにも心配ないです。本当に
ゴールドシップと典ちゃん、まさに会話しているかのように、息がぴったり合っていると思います。」
――先週に比べて変わったところは?
「
ゴールドシップと典ちゃんは先々週が初対面だったわけですけど。先週は余計な力みさがなくなってきて、今週は2者がぴったり合ってコンディションを調整したというかんじでした。」
――ここまで何にいちばん注意をされて過ごしましたか?
「毎回、あのくらいの馬なので。能力云々よりも精神的なものを大切にしてあげるのがいちばんだと思います。これは典ちゃんとも同意見です。」
――天皇賞から変えたところは?
「今回、はじめて
シャドーロールを装着するんですけど。おそらくいい方向に向くと思います。」
――ファン投票は1位でした
「ファンの皆様には感謝しています。それにこたえられるだけの
ゴールドシップが、今はあると思います。」
――当日はどんなパフォーマンスを見せたいですか?
「それは典ちゃんと
ゴールドシップが考えることであって。これだけいい状態で出せるので。典ちゃんと
ゴールドシップを応援してあげて欲しいなと思います。」
――横山騎手とのコンビを見ていて、どうですか?
「数々のジョッキーに乗っていただいたんですけど。典ちゃんと
ゴールドシップは、こう、常に心の中で会話しているように僕には映っています。それがレースで出てくれれば、いい結果が生まれるんじゃないかと信じています。」
――横山騎手も(回数を重ねるごとに)コンタクトがとれるようになったと話していました。
「彼(横山典騎手)が望んで、もっともっと
ゴールドシップとしゃべりたいということで今回も(調教に)乗ってくれたんです。そういうイメージでまたがってくれているので。やはり、精神面もすごく大事にしてくれるジョッキーです。『これは』というところが発見できました。」
――しかし、横山騎手はゲートがひらくまでわからないと話していました。
「まぁ、ゲートのほうはそうは言ってても
ゴールドシップと典ちゃんだから、そのことも会話しているんじゃないかと。そういうふうに信じています。」
――ゲート練習のほうは?
「練習のほうは吉澤ステーブルでやってきました。こっちではやりません。練習では何もしませんしね。」
――横山騎手と
ゴールドシップのコンビに高く期待されているようですね。
「典ちゃんと
ゴールドシップがいかにコンタクトをとれる状況を自分たちがつくってあげるか。それだけですね。」
――ラ
イバル関係は?
「ジェン
ティルも
ウインバリアシオンも具合よさそうなんで。春のGIホースたちが揃う場面で、その中で最高のパフォーマンスができたらと思っています。」
――阪神コースの相性は抜群ですね。
「そうですね。
阪神大賞典も強い勝ち方でしたし、去年の宝塚も勝ちましたしね。」
――宝塚を勝つと連覇になります。
「連覇云々はあまり考えていないです。強い馬が強い競馬をするレースになってほしいと思います。レースは
ゴールドシップと典ちゃんが会話をしながら進めてくれると思います。僕からは言うことないです。」
――最後にファンの方へメッセージをお願いします。
「小さいお子さんからおじいちゃんまで、この馬を応援してくださってありがたいと思います。その中でいいレースをしてくれたらいいなと思います。応援よろしくお願いします。」(取材・写真:花岡貴子)