凱旋門賞に向けてフランス・
シャンティに滞在中の
ゴールドシップ、
ジャスタウェイ(ともに牡5、栗東・須貝厩舎)の2頭はひじょうに順調に調整が進められている。この意欲的なチャレンジの裏には、力強い大和魂があった。
「チャンスがある馬はどんどん海外に出たほうがいいと思う。日本の競馬を絶やさないためにも、海外で結果を出し、日本の血統を生かさなければいけない。調教師はそういう役目のある職業だと思っているからね。“日本の馬は素晴らしいぞ”という意識を海外の人にも持ってもらいたいからね」
ジャスタウェイがここまでの成績を残せた理由は、“我慢”にあるという。
「使いたいレースはもっとあったけれど、調子の悪いときは走らせなかったことかな。この馬は調子のいいときと悪いときがハッキリしているし、状態の良し悪しを歩様などに明白に出す馬だから。目先のものではなく、大事にしたことで成長を促せたと思う。3歳時はそういうことが多かったけど、4歳秋は安定していた。今回も
安田記念のあとに
宝塚記念という考えもあったけれど、それだけ使って
凱旋門賞に向かうのは無理だと判断した」
ゴールドシップは“怒り”のぶつける先がポイントだという。
「
ゴールドシップの場合、能力云々より内面的なものを重視してやらなければいけない。本当に賢い馬なのでね。怒りをへんなところに出さずに、レースで引き出すというのが大切。そのあたりを横山典騎手がうまく理解してくれている。
宝塚記念は素晴らしいレースだったと思うし、
札幌記念だって負けたけれど強い競馬をしてると思うしね。距離が今度は得意な2400になるのもいい」
凱旋門賞をぶっつけで勝った馬はいないといわれているが? という記者の問いには、即、一蹴した。
「データも大切なものだとは思うけども。
宝塚記念を2連覇した馬がいない、というのと一緒。歴史は変わるものや」(取材・文・花岡貴子)