名手が鮮やかな手綱さばきを見せた。「第65回
毎日王冠・GII」(芝1800m)は12日、東京11Rに15頭で争われ、8番人気の
エアソミュール(栗東・角居)がゴール前の混戦からグイッと抜け出し、6月の
鳴尾記念に続く2つ目の重賞タイトルを手にした。道中は中団のインで折り合いに専念。直線半ばでも四方を囲まれる形だったが、狭いスペースをさばくと、逃げ粘る11番人気の
サンレイレーザー(2着)をゴール寸前で首差かわした。勝ちタイムは1分45秒2。なお、この勝利により
天皇賞・秋(11月2日・東京、芝2000m)への優先出走権を獲得。さらに首差の3着は5番人気の
スピルバーグ。1番人気の
ワールドエースは見せ場なく13着に敗れた。
同レースは98年の
サイレンススズカ以来の勝利となった
武豊は、会心の騎乗に
ガッツポーズを決め、思わず満面の笑みをこぼした。この日は12年12月の
金鯱賞(12着)以来のコンビ。「全てが解消されたわけではないが、以前乗った時よりも乗りやすくなっていたね。これだけ折り合ったのは初めて」。鞍上の
ゴーサインに期待通りの伸びで応えた馬も立派だが、計ったように差し切った鞍上の手腕もさすがだ。「僕も春と夏はおとなしくしていたので秋は目立ちたいね」。春のGI戦線では存在感を示すことができなかっただけに、4月の
阪神牝馬S(
スマートレイアー)以来の重賞Vで当然、満足はできない。
「東京は条件が合っている。ようやく完成に近づいたし、GIにも少しは近づいたかな」と、角居師は
エピファネイア、
デニムアンドルビーと3頭出しのプランもある
天皇賞・秋を見据えた。
5歳秋で9勝目と着実に階段を上ってきたソ
ミュールと、月曜の
京都大賞典で歴代トップの騎乗数に到達する
武豊。実りの秋を迎え、人馬の存在感が一層、増していきそうだ。
提供:デイリースポーツ