10月25日(土)、東京競馬場で誘導馬となった
ネコパンチ(セン8)とファンの記念撮影会、題して『僕と記念撮影するニャ!』が、最終レース終了後に行われた。
撮影会には200組の応募があり、抽選で20組が当選し、撮影会に参加。
ネコパンチとコンビを組んで2012年
日経賞(GII)に優勝した
江田照男騎手が最終レースを終えて、撮影会に飛び入り騎乗して大いに盛り上がった。
撮影会に当選した神奈川県在住の40代女性は「デビュー時から応援しています。応援のきっかけは名前でしたけど、お笑い系というだけではなく、強いレースをするところが好きでした。
日経賞など目の前で勝ってくれた時は泣いてしまいました。
ネコパンチの生産牧場さんへもお邪魔させていただいて、
ネコパンチのお母さんにも会ってきました。今日も牧場さんに撮影会に当選しましたよ!とお知らせしたんですよ」と、
ネコパンチへの熱い思いを口にした。
ご主人が競馬ファンで、奥様は
ネコパンチファンという、東京都在住のご家族連れ3人も笑顔でカメラに収まった(画像のご家族)。「いつもは主人1人で競馬場に来ることが多いのですが、今日は
ネコパンチ撮影会のために私も来ました。
日経賞も馬券を当てました。今日は用事のある主人より先に競馬場に来て、私が応募しました」(奥様)
撮影会終了後、東京競馬場総務課の高橋祐樹さんは、「
ネコパンチが1頭で行うイ
ベントは今回が初めてでしたので、少しハラハラしましたが、度胸のあるところを見せてくれましたね。
サクセスブロッケンや、誘導馬を引退した阪神競馬場の
ブルーショットガンなど、誘導馬が人気になるということは以前はあまりなかったと思います」と、笑顔が溢れて盛り上がった撮影会に手応えを感じている様子だった。
競走馬だけではなく誘導馬にこれだけ注目が集まるというのは、
サクセスブロッケンが東京競馬場で誘導馬となったあたりからの新しい流れなのかもしれない。だが裏を返せば、柵の向こうの馬を応援するだけではなく、馬と触れあいたい、馬を身近に感じたいという気持ちをファンが潜在的に持ち続けていて、それが
サクセスブロッケンなどの登場により、表に出てきたものとも考えられる。
最後に、無事イ
ベントを終えてホッとしている
ネコパンチ担当の岩本浩さんに、同馬の近況を伺った。
「撮影会で江田騎手が乗った時は、馬の雰囲気が変わって最初はドキドキしました(笑)。ジョッキーということがわかるんですね。そういう面を見て、やはり走る馬だったんだなと改めて思いました。以前、佐々木さんに取材をしていただいたのは3月頃だったと思うのですが、その当時よりだいぶ筋肉もついてきましたし、体がしっかりしてきました。90cmくらいの障害は平気で飛ぶようになりました。ネコっていうくらいですから(笑)、体が柔軟で、飛び方も柔らかいんですよ。誘導の仕事は4回東京(今開催)から始めました。時々スイッチが入ることはありますが、うるさ過ぎることもないです。誘導は前ではなく、まだ後ろですけどね。5回東京の終わり頃には、もう少し落ち着きが出てきてくれればと思っています」
今回の撮影会を取材して感じたのは、参加した方々全員がとても良い笑顔をしていたということだ。撮影後に多くの方が
ネコパンチの鼻面を撫でていたが、その時の表情は幸せに満ちているようにも見えた。競走馬時代のオーナーご家族や、星野忍厩舎に転厩する以前に管理していた元調教師の小林常泰さんも駆けつけ、撮影会の様子を嬉しそうに見守っていた姿も印象的だった。
ネコパンチの前では、皆、良い顔、良い笑顔になるのを目の当たりにして、1頭の馬が人々をハッピーにすることができるのだと、馬の持つ素晴らしい力を再認識した撮影会だった。
(取材・写真:佐々木祥恵)