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トーセンラーと
フィエロを管理する
藤原英昭調教師
――まず、
トーセンラーについてお話を伺います。昨年の今ごろ『マイルを戦う体をつくっている』と仰っていました。どのあたりを工夫されたのですか?
藤原「体質が弱かったので成長を待っていました。能力があるのはわかっていたので、それを生かすための体づくりをしていました。どうしても日にちが必要で成長を待っていましたが、馬に(状態の)GO
サインが出たので勝負しました」
――昨年は見事な追い込みでした。
藤原「京都の坂を利用して勝負するのはこの馬の専売特許ですから。その坂をうまく利用するための馬づくりができたと思います」
――昨年に続き、連覇を狙う状況ですね。
藤原「やはり昨年勝たせてもらったおかげで名誉を手に入れましたので、昨年からもう一度ここを最大目標にと考えてきました。勝負用に結構意気込んでいます」
――調教には
武豊騎手が2週連続でまたがりました。
藤原「先週はちょっと負荷をかけ、今週も(状態を)確かめてもらいました。その課程の中でマイル仕様で仕上げました。指示については、乗りなれているジョッキーですからね。確認程度です。予想どおり『いい状態できていますね』と
ジャッジしてもらいました」
――藤原先生自身の
ジャッジはいかがですか?
藤原「いいかんじできていると思います。能力は発揮できると思います」
――状態を昨年と比較すると?
藤原「昨年のほうが若さがありました。思い切った調教、思いきったパフォーマンスを意識しました。今年はひとつ年をとった分キャリアがありますから。そういう意味では“やさしめ”といいますか、馬の気分を損ねないように心がけました」
――今年の課題は?
藤原「課題は京都に関してはあまりありません。良馬場でやらせていただくのが条件ですね」
――理想の展開は?
藤原「昨年はうまくはまったかんじもありますからね。昨年とはメンバーも違いますし、展開も違いますから。こればかりは(わかりません)。ただ、キャリアも自在性もありますから、勝負できる位置にいてジョッキーが計算して乗ってくれると思います」
――連覇のてごたえは?
藤原「そのつもりでずっとやっています」
――
トーセンラーについてひとことを。
藤原「ここが集大成と思っています。連覇できるよう頑張っていますので応援よろしくお願いします」
――続いて、
フィエロについて伺います。休み明けの
スワンSは素晴らしい脚で3着でした。
藤原「スワンを叩いてここというのは計算にありました。どういう走りをするのか期待しながら見ていましたが、さすがに勝った馬が強かった。ですが、終いの脚も使っているので合格点だと思います」
――1年前の今は条件馬でした。この1年で強くなった点は?
藤原「
トーセンラーと似ています。血統的にも潜在能力的にもこの馬に“確信”がありましたから。それを生かすために人間の手ではどうしてもできないことがあります(注:日数を待つということ)から。成長をうながして、それにあわせて調教し心技体を鍛えてきました。それがここ最近になってしっかりしてきて思うような調教ができるようになりましたね。
トーセンラーと似た(成長)曲線で力をつけてきました」
――この馬のセールスポイントは?
藤原「500キロ近い馬体。馬力もあり、乗りやすいです。脚質的にまた(
トーセンラーに)似ているんですが、終いもしっかり確実にきてくれますから」
――春には1分31秒台の速い時計で走りました。
藤原「あのときも勝った馬が強かったですが、こちらもそれだけの時計で走っていますから。この馬も時計的にはヒケをとりません。あとはどれだけ(道中を)うまくさばいて、終いこれるかというかんじです」
――実績では
トーセンラー、勢いでは
フィエロと考えてよろしいでしょうか?
藤原「……実績云々というよりも、若さでは
フィエロですね。実績では
トーセンラー。さぁ、どう出るか」
――最後にひとこと。
藤原「やっとしっかりしてきて力を出せるような体になってきました。ここで勝負できるようにという青写真は出来てきています。この馬もしっかりつくって、
トーセンラー同様、勝負に出たいと思います。応援よろしくお願いします」
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トーセンラーに騎乗予定の
武豊騎手――今朝の追い切りの指示は?
武豊「1頭(前にいる馬)をみながら、ラストは反応を試して欲しいということでした。それほど目一杯やらなくていいという指示でしたが、そのとおり乗れたと思います」
――感触はいかがですか?
武豊「昨年とおなじような調整方法ですし、体調、状態も同じような状態です」
――年齢をひとつとっていますが、そのあたりはいかがでしょうか?
武豊「まったく。何か特別感じることはありませんね。昨年もすごく状態がよかったんですが、今年もいいですね」
――幅広い距離で活躍していますね。
武豊「そうですね。距離に関してはいろんな距離をこなしてくれています。ただ、ベストパフォーマンスは?といわれたらこの距離なので。いちばん適距離かなと思います。昨年の
マイルCSの走りは実に強かったですし、何かそれまでとは違う走りだったので。やっぱりいい舞台なのかな、と思います」
――昨年は14番手からの追い込みでした。
武豊「はじめての距離だったんですけど、いいんじゃないかなと思いました。自分の中では合うんじゃないかなというのがあったので、勝ちを意識して乗りました」
――理想の展開は?
武豊「昨年のような走りができればいいんですけど。昨年は枠順も含めてすべてがうまくいったかな、というのがあるんですが。まぁ、レースにいって難しいというタイプの馬ではないので、良馬場でやれれば確実に走ってくれると思います」
――連覇のチャンスでは?
武豊「そうですね。この馬にとってはいちばんの目標というか、狙っているレースなので。大事なレースですし、きっちり勝たせたいという気持ちが強いです」
――最後にひとこと。
武豊「昨年、勝つことができて今年もいいかんじで挑めます。大きなチャンスだと思っているのでベストを尽くしたいですね。頑張ります」(取材・文:花岡貴子)