今週の栗東は「長雨」「突風」「雪」。非常に悪いコンディションの中で追い切りが行われている。特に17日は16日に振り続けた雨の影響を大きく受け、非常に時計を要する馬場状態。坂路では、故障ではなく、走る体力がなくなって転倒してしまう馬が出るなど、非力な馬にとっては過酷な馬場だったと言える。
なお、17日は降雨と気温低下により、ダート馬場が凍結。BコースとEコースが終日閉鎖となった。これにより、Eコースを使用するゲート試験が行われなかった。
【坂路/4F51.9秒】
17日。時計を要する馬場ではあったが、一番時計は
ネロ(栗東・
森秀行厩舎)の4F50.4秒と速い。二番時計が同じく森厩舎の
セトアローがマークした4F50.7秒。4F50秒台はこの2頭しかおらず、4F51秒台が6頭しかいなかったことを考えると、森厩舎の2頭を例外と考えるべきだろう。
こんな馬場状態でも「さすが」と思う動きを見せたのが、
武豊騎手が騎乗した
コパノリチャード(栗東・
宮徹厩舎)。時計が出やすいとされる、右埒沿いを進めたとはいえ、4F52.2〜3F37.6〜2F24.7〜1F12.3秒とラスト1Fが最速になるラップを踏んでいる。
京王杯SC以降、低迷した着順に終わっているが、予定されている
阪神C(12月27日・阪神芝1400m)で久しぶりに快走を見ることができそう。
18日。この日に
朝日杯FS(12月21日・阪神芝1600m)に向けた最終追い切りを行ったのが、栗東に滞在している
ネオルミエール(美浦・
藤沢和雄厩舎)。柴山雄一騎手が跨って、
スペースクルーズを追走する内容だったが、終始楽な手応えで先着。時計は4F54.7〜3F39.7〜2F25.8〜1F12.8秒とゴールに向かって加速ラップを踏むことができた。栗東での滞在期間は短いが、調教後の様子を見ていると、非常に落ち着いた雰囲気が印象的だった。
先週の馬場差は「+0.5秒」。全体的な時計の出方を見ると、先週と比べると多少時計を要している印象。よって、17日、18日とも『+0.7秒』の馬場差で記録している。
【CW/5F66.5秒】
坂路に比べると、走りやすい馬場状態のCコース。それでも前日の雨を敬遠して、当初Cコースで追い切る予定を芝とポリトラックのあるDコースに変更する厩舎が続出した。
前半の入りこそ遅かったものの、終いの伸びはしっかりしていた
ティルナノーグ(栗東・
松永幹夫厩舎)。
ディープサウスを追走する内容だったが、きっちりと追いついて、最後は先着する内容。
京都2歳Sで惨敗したものの、予定されている
ホープフルS(12月28日・中山芝2000m)での巻き返しに向けて、強い負荷の調教を課している。
時計は関係なく、動きが絶品だったのは、
有馬記念(12月28日・中山芝2500m)を予定している
ラストインパクト(栗東・松田博資厩舎)。ジョッキー騎乗の
レーヴデトワールとの併せ馬を行ったが、相手は追いつくのがやっとという動き。躍動感のある走りは前走以上。最終追い切りでどのような動きを見せてくれるか、本当に楽しみ。
先週の馬場差は「-0.7秒」。今週は雨の影響を受けて、先週よりも相当に時計を要する状態。よって、今週は17日、18日とも『±0.0秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
角居勝彦厩舎を筆頭に、来週の
有馬記念を予定している
ラキシス、
デニムアンドルビー、そして
トーセンラー(栗東・
藤原英昭厩舎)が芝馬場で追い切り。
トーセンラーは
トーセンデュークを追走する併せ馬で、6F76.5秒をマークしたように、強い負荷をかけるには、ちょうどよい馬場状態なのかも知れない。馬場差は17日、18日とも『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場は追い切り頭数が増加。適度な水分があって走りやすいのか、好時計が連発した。特に
藤岡健一厩舎の管理馬はラスト1F11秒前後で動く馬ばかり。
愛知杯(12月20日・中京芝2000m)を予定しているサンシャインも5F66.0秒、1F11.0秒と動いており、前走の逃げが布石になりそうな感じ。なお、先週の馬場差は「-1.0秒」だったが、今週も17日、18日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)