12月18日(木)、新刊『世界一の馬をつくる』の発売を記念して、著者でありオーナーブリーダーの前田幸治氏と、
キズナの主戦・
武豊騎手とのトークショーが大阪で開かれた。
先着150名の参加チケットは、1週間も経たないうちに完売。平日の夜、学校や会社帰りの20代〜30代の男女を中心としたファンが詰めかけた。
冒頭に、編集協力をしたライターの島田明宏さんから「ノースヒルズ見聞録」と題し、「ノースヒルズや大山ヒルズのスタッフは、“馬乗りのプロ”であるだけでなく“競馬のプロ”である」といった取材で感じられた話が紹介された。
いよいよ前田氏と武騎手が登場すると、多くの人がスターのツーショットをカメラに収めようと立ち上がった。
武騎手は、前田氏の尊敬する点を聞かれると「情熱と明確な目標を持たれている。周囲の人が、『オーナーの夢をなんとか叶えられるようにがんばりたい!』と努力するような、人を動かす力がある」と語った。
武騎手自身も、前田氏の初GI制覇の夢を98年
桜花賞で
ファレノプシスとともに叶えた。それに答えるように前田氏は「武騎手が自分の馬に乗ると、ワクワクします。夢は
凱旋門賞を武騎手と共に
キズナで勝つことです」と、生産馬での夢を明言すると、会場からは拍手が沸き起こった。
キズナは今年の
天皇賞・春の後に骨折が判明し休養していたが、先週12日(金)に栗東トレセンに帰厩。武騎手は「昨日トレセンで見てきましたが、一段と逞しい体になっていました。骨折をした後は、その箇所以外でも体調を崩しやすいんですが、
キズナは順調で、大山ヒルズのスタッフの努力やケアの良さを感じました」と目を輝かせた。
前田氏は「調教師と話をし、
キズナの復帰後のローテーションも決まりました」と発表。2月15日の
京都記念で復帰初戦を迎え、産経
大阪杯→
天皇賞・春→
宝塚記念と進み、大山ヒルズを経由して渡仏。フォワ賞から
凱旋門賞へと挑戦する予定。帰国後は「状態を見ながらですが、ラストランに
有馬記念を使って、引退式を行いたい」ということだ。
トークショー後の質問コーナーで、学生から「将来牧場で働きたいが、大切なことは?」と聞かれた前田氏は「真面目なことと、競馬が好きなこと。ぜひうちの牧場へ」とラブコールを送った。また、小学生の男の子から「どうやったら強い騎手になれますか?」と聞かれた武騎手は「真面目に努力すること。がんばってください」と丁寧に答えた。
何度も拍手と笑いが起こったトークショー。最後に、第80回
日本ダービーを
キズナで優勝した武騎手は「第100回の
日本ダービーには、
キズナの子で出走したいですね」と夢を語った。
前田氏と武騎手の夢を結ぶ
キズナ。夢は、来秋の
凱旋門賞だけでなく、さらにその先へと広がり、新刊の副題の通り「チームノースヒルズの飽くなき挑戦」は続く。
(取材・写真:大恵陽子)
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