メイショウマンボとともに初めて挑む年末の
グランプリ。「僕にとっての
有馬記念ですか?これまでは別世界の話だと思っていましたからね」と塩見覚助手(48)=栗東・飯田祐=は笑顔を見せる。「有馬どころか、GIは一昨年の阪神JF(10着)が初めて。マンボが僕を次々と別世界へ連れて行ってくれたんです」。人馬ともに9回目となるGIは、復活を期す場だ。
京都府福知山市出身。動物に携わる仕事を探していたところ、知人から北海道静内のグランド牧場を紹介された。5年務めた後に栗東トレセンへ。勝負の世界に足を踏み入れたが、馬と接する喜びをかみしめる日々。競馬に対しては「さほど興味がなかった」と笑う。「なので、有馬の思い出は特に…。印象的なのは、
オグリキャップが勝ったときぐらい。僕は競馬ゲームもしませんからね」。
マンボに出会う前のキャリアハイは、オープンまで上り詰めた
タイカラムーン。だが、大久保正厩舎時代は
ナリタブライアンや
メジロパーマー、加藤敬厩舎では
エリモエクセル、飯田明厩舎では
キョウワジャンヌといった看板馬が、華やかな“別世界”で活躍するのをはた目で見ていた。
馬に携わる上で大切にしていることは「常にいい状態で出走させること」。馬に対する愛情は今も変わらないが、マンボと出会ってからは「勝負にこだわるようになりましたね」。心の奥底に潜んでいた負けん気が、沸々と沸き上がってきた。
厩舎休憩所の机の上には、復活を願うファンからの手紙が-。「励まされたし、頑張らないと。僕もこのままでは終わりたくない」。もがき、苦しんだこの一年。夢舞台で目覚めることを願っている。
提供:デイリースポーツ