枠はもう帽色ピンクの2つしか残っていなかった。ようやくレーティング世界ナンバー1
ジャスタウェイの名が出てきたのは“ブービー”の15番目。大外枠で最後に枠入りする権利を取るか、それとも1つでも内に入るか。カメラの前に立った福永に迷いはなかった。
選択したのは(15)番。「あれこれ考えていたんですけどね。もう選べないんじゃないかとも思っていました」。抽選開始から30分以上名前が呼ばれず、苦笑いを浮かべていた。「最後入れ(の16番)も考えたんですが、そんなに変わらないかと。それに須貝先生が
エピファネイア、
ゴールドシップ、
ジャスタウェイと(有力馬が)並んだらはまりがいいんじゃないかと言うんで」と残された2枠から選んだ理由を説明した。
「いいよ。どこでも。枠がこういうふうに決まるにしても、コンピューターの抽選でもこうだったかもしれないし」。須貝師も歓迎とはいえない表情だ。それでも「これも神様が決めたこと。これも運。あるいはいい方に転がることがあるかもしれない。前向きに考える。馬の具合はとってもいいんだから」と努めて前を向いた。
須貝厩舎の馬房では、
ゴールドシップとずっと隣同士。この秋には一緒に渡仏もした。「この2頭はずっと仲良しで歩んできた」。木曜の朝、須貝師は馬房から首を出して見つめ合う2頭を前に、しみじみと話していた。仲良しの同期生の隣枠で迎えるラストラン。多少外の不利など、はね返して世界一の走りを見せつける。
提供:デイリースポーツ