見事な大金星だ。「第56回
AJCC・GII」(芝2200m)は25日、中山11Rに17頭で争われ、4番人気の
クリールカイザー(美浦・相沢)が2分13秒6のタイムで重賞初制覇を果たした。果敢に先頭を奪う積極策。3角ではいったん先頭を譲り、4角手前から一気に仕掛ける味な競馬で追撃を振り切った。1馬身1/4差の2着は7番人気の
ミトラ、さらに半馬身差の3着には2番人気の
エアソミュールが入った。なお、1番人気の
ゴールドシップは7着に終わった。
GI5勝馬を撃破し、
クリールカイザーをVに導いた田辺はしてやったりの表情だ。「
ゴールドシップを負かすつもりだった。そのために先手の主張は考えていた」。練りに練った作戦はバテない強みを生かし、相手の末脚を封じること。相沢師も「あの馬を倒すためには前で競馬をするしかないからね。その通りに乗ってくれた」とたたえた。
強い思いで臨んだ一戦だ。同じコンビで昨年のこのレースを制した
ヴェルデグリーンが昨夏に腸閉塞(へいそく)を発症し、この世を去った。主戦を務めた田辺が「活躍を期待していた馬。それだけに残念だった」と振り返れば、指揮官も「今回は弔い合戦だったからね」と感慨深げにうなずく。
今後は
日経賞(3月28日・中山、芝2500m)から
天皇賞・春(5月3日・京都、芝3200m)へ。田辺は「胸を張って、GIへ行けるでしょう」と太鼓判を押した。志半ばで急逝した僚馬の思いを背負い、次はGIの大舞台での金星を目指す。
提供:デイリースポーツ