11日、
高知競馬場で毎年恒例の新人王争覇戦競走が行われた。このレースは、デビューから3年以内の中央・地方の新人ジョッキーが集まり、2レース戦ってポイントで争われる。今年の出場騎手は9名で、まず中央からは、昨年47勝を挙げて
最多勝利新人騎手となった
松若風馬騎手と、39勝の活躍を見せた
小崎綾也騎手の2名。地方勢は、2013年の日本プロスポーツ大賞新人賞とNAR
グランプリ優秀新人騎手賞をダブル受賞した大井の
笹川翼騎手、昨年41勝を挙げて大きく躍進した名古屋の
木之前葵騎手などが顔を揃えた。昨年のNAR
グランプリ優秀新人騎手賞に輝いた北海道の
石川倭騎手がケガのため出場辞退となったのは残念だが、例年以上に豪華なメンバーが集結した。
第1戦は、大井の笹川騎手が好スタートからハナを主張。道中落ち着いたペースに持ち込み、3コーナーで自らスパート。そのまま逃げ切り勝ちを決めた。
笹川翼騎手「返し馬の雰囲気から、自分からバリバリ行くタイプではないので、ハナさえ切れれば渋太く粘ってくれると思いました。初めて乗る競馬場で、仕掛けどころがわからなかったけど、馬を信じて早めに行きました。最後までよく頑張ってくれて、馬に感謝しています」
2着は後方の位置取りから追い込んで来た、北海道の
井上幹太騎手。井上騎手はこの新人王に合わせ、期間限定騎乗で高知に遠征し、前乗りを果たしている。
井上幹太騎手「スタートしてずっと内にささってしまって…。直線はよく伸びてくれたけど、思い通りのレースは出来ませんでした。ただ、早めに高知入りして乗せてもらったので、落ち着いて競馬をすることが出来ました。門別とはコースが全然違うけど、高知も乗りやすいです」
第2戦は、再び笹川騎手が好スタートを決めてハナを主張、2番手は井上騎手という構図になった。向正面に入ると、井上騎手が攻めの姿勢を見せ、笹川騎手に並びかける展開に。2頭が激しいバトルを繰り広げる中、名古屋の
木之前葵騎手が、3番手の位置から直線で見事差し切った。
木之前葵騎手「前2頭がバチバチやっていたので、展開も向きました。3、4コーナーの中間では前が苦しそうだったので、これは差し切れるなと。とても乗りやすい馬で、落ち着いて競馬をすることが出来ました」
そして2着は、果敢に攻めて行った井上騎手。このポイントにより、2着、2着だった井上騎手が総合優勝。第29代新人王に輝いた。
井上幹太騎手「勝てなかったのは悔しいですね。笹川くんのことを意識し過ぎて、仕掛けるのが早くなってしまいました。でも優勝出来たことはすごく嬉しいです。北海道の先輩たちがけっこう勝っているので(北海道勢の優勝は7人目)、僕も結果を出せて良かったです。早めに高知入りした甲斐がありました。受け入れてくれた関係者の方々、『行って来い』と言ってくれた堂山(芳則)先生に感謝しています」
惜しくも1ポイント差の2位となったのは、4着、1着だった名古屋の
木之前騎手。
木之前葵騎手「悔しいですね…。1戦目が3着だったら(アタマ差4着)優勝出来たのにと思うと、本当に悔しいです。でもこうやって、同期と一緒にレースが出来て、同期で上位を取れたので、そこは嬉しかったですね。いろいろ勉強になったし、反省点もありました。これを地元で活かしたいです。今年の目標は、優秀女性騎手賞です!」
そして、第3位は1着、4着だった大井の
笹川翼騎手。
木之前騎手と同ポイントながら、同ポイントの場合は最終レースの着順が上の騎手が上位となる、という規定から、第3位となった。
笹川翼騎手「悔しかった…。でも面白かったですね。あんなに早めから2頭でバトルをすることってなかなかないじゃないですか。負けてしまったけど、バチバチやれて楽しかったです。この悔しさは、南関東で晴らします! 明日からまた頑張ります」
中央勢は、松若騎手が6着、6着で7位、小崎騎手は2戦目でスタート直後に落馬するというアク
シデントに見舞われたが、大きなケガはなく無事検量に戻って来た。
松若風馬騎手「勝つことは出来なかったけど、初めて高知で乗れて、とても勉強になりました。それに、同じ年代のジョッキーたちと戦うことが出来て、刺激になりましたね。土曜日は騎乗停止なんですけど、日曜日から乗れるので、この経験を活かしてまた頑張ります!」
こうして幕を閉じた今年の新人王争覇戦競走。レースを見守っていた高知の帝王・
赤岡修次騎手は、「今年のメンバーはレベルが高い」と話してくれた。このメンバーの中から、各地のリーディングジョッキーが生まれる日も遠くないかもしれない。(取材・写真:赤見千尋)