今週は全国的に寒くなっているが、栗東も例外ではない。調教時間中に小雪がちらつくような状況もあって、非常に寒かった。そして、追い切りが集中した25日は日の照る時間帯があったり、雨が降る時間帯があったりとバラエティーにとんだ天候。急激な気候の変化に体調を崩す関係者も多かったが、馬にとっても体調を安定させるのは難しいかも知れない。
馬場差に関しては、各コースの項目で記しているが、24日夜に降雨があったものの、極端に時計を要するような馬場にはなっていない。むしろ乾燥しすぎていないことによって、適度に走りやすい馬場という印象すらあるくらい。
【坂路/4F51.9秒】
25日。一番時計は
ヤマノハヤブサ(栗東・山内研二厩舎)の4F50.3秒。2F目と3F目に11秒台のラップを刻むという時計だったため、この数字が出たと思われるが、2F続けて11秒台を継続できるという走りは評価すべきスピードの持続力だろう。個人的には直線競馬に最適な走りだという印象がある。
4F50秒台は一番時計を含めて4頭。その後、4F51秒台がズラリと並んでいることを思えば、全体的にも時計の出やすい馬場だったと判断して間違いないだろう。
26日。この日の開門直後の馬場で追い切ったのが、
高松宮記念の出走を予定している
アンバルブライベン(栗東・福島信晴厩舎)。
田中健騎手が跨って、単走での追い切りだったが、テンから飛ばしていった先週とは一転して、道中はじっと静かなまま。後半に入ってもペースが上がる様子はなく、馬が頭を左に向けて行きたがるのをなだめる感じで最後までセーブしてきた。時計の4F56.8〜3F41.7〜2F26.9〜1F12.8秒はかなり遅く、決して高い評価ができる内容ではない。
先週の馬場差は19日が「+0.1秒」。これは雨の影響を受けたもので、18日は「-0.1秒」だった。今週もこの状態に近いので、25日、26日ともに『-0.2秒』で記録している。
【CW/5F66.5秒】
25日の5F時計のトップは
タガノグランパ(栗東・松田博資厩舎)だったが、これは4コーナーで最内に近い位置を通っていたことが大きな要因だろう。6F時計のトップは
高松宮記念の出走を予定している
マジンプロスパー(栗東・
中尾秀正厩舎)。かなり遅い時間帯の追い切りだったが、テンからこの馬のペースで飛ばして、最後まで止まらず。6F78秒をマークしており、追い切りだけなら年齢的な衰えは全く感じない。
26日は
高松宮記念の出走を予定している
トーホウアマポーラ(栗東・
高橋亮厩舎)が単走での追い切り。前半を極端に遅くして、終い重点というのは、厩舎がCWで追い切り時のパターン。そのため、6F86.0秒と全体は遅くなったが、その分、終いは弾けて11.9秒。休み明けとなるだけに、全体時計が遅い点は気になるが、見た目の鋭さは評価したい。
なお、先週の馬場差は「-0.7秒」。これは雨の影響を受けた19日の数字で、18日は「-1.0秒」だった。今週も全体時計の出方はこの馬場差とあまり変わりないので『-1.0秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場での追い切りは、25日が
高橋康之厩舎の2頭併せのみ。26日は追い切りを確認できなかった。馬場状態に関しては、雨の影響が残っていると思われたが、芝の塊の飛び方から、馬場差は25日、26日とも『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場は
トウケイタイガー(栗東・
松下武士厩舎)が5F60秒を切る、破格の一番時計。近走成績は冴えないが、この追い切りをきっかけに変わってくるかも知れない。全体的な時計の出方はここ最近と変化はないので、馬場差は今週も先週と同じ『-1.0秒』で、25日、26日とも記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)