悲願のGI制覇に向け、
天皇賞・春を目指す
ウインバリアシオン。22日に1週前追い切りを終えたあとも順調に過ごしている。
もともと爪が強くなかったところへ、二度の屈腱炎発症。現在、順調に調教を消化しているが、脚元に常に爆弾を抱えた状態であるのは否めない。それゆえに「一戦一戦が勝負」という竹邑厩務員の言葉には重みが感じられる。
オルフェーヴルとの戦いから時が過ぎ、
ウインバリアシオンもいまや7歳。それでも、とにかく気持ちが若い。普段も体を汗こきと呼ばれる金具でさすられるたびに暴れる。あてられた部分がポカポカするはずのマイクロ
レーザーをかけられているとき、その気持ちよさに寝てしまう馬もいるが
ウインバリアシオンは決してゆったりはしない。この日も終始、青草の入った袋を咥えては離し、咥えては離しと落ち着きがなかった。
「でも、この元気のよさがこの馬のいいところなんだよね」竹邑厩務員は長年付き合ってきた愛馬の若いころからの変わらない様子に目を細めた。
日経賞では積極策に出たが、その分決め手に欠いた。しかし、それも天皇賞へ繋げるための
ステップになったと陣営は見てるようだ。
「祐一は頭で理解して騎乗するタイプだから、(前回騎乗した2011年)
弥生賞以来、天皇賞の前に騎乗して感触をつかんだのはプラスに出るはず」と中山助手は話す。
度重なる脚部不安を乗り越えてきたとはいえ、復帰直後はさすがに陣営も脚元の爆弾を警戒していた。しかし、いまもそのリスクは鑑みつつも、「GIに挑む万全の仕上げ」で本番挑む姿勢で臨む。
これまでのGIで悔しい思いはさんざんしてきた
ウインバリアシオン。
「悔いのないレースを。そして近い将来、種牡馬になったときのためにもGIを勝って価値が高まるよう願います」中山助手のその言葉に、陣営の愛馬への思いのすべてがこめられている。
(取材・文・写真:花岡貴子)