ヤマカツエースの最終デモは、栗東CWで単走。序盤はリズム重視のゆったりとしたペースだったが、直線に向くと右の肩ムチを合図にスイッチオン。1発、2発とステッキが入るたびにギアを上げた。ラストは栗毛のたてがみをなびかせ、全身をバネのように弾ませてシャープな伸びを披露。6F80秒0-38秒0-12秒2の好時計をマークした。
見届けた池添兼師は「いい動きだった。個人的には時計が速いかなとも思ったけど、中3週でこれだけやれたのは馬の状態がいいからでしょう」と力強くうなずく。今年6戦目で「見えない疲れがなければいいけど」と正直に心中を吐露したが、「デビューからずっと厩舎に置いていたわけじゃないし、途中でリフレッシュ放牧も挟んでいるから」と自らその不安を打ち消した。
池添兼師-謙一のコンビは地方GI勝利(04年
全日本2歳優駿プライドキム)はあるが、中央のGIは00年
秋華賞の
ヤマカツスズラン、10年
エリザベス女王杯の
メイショウベルーガの2着2回が最高。父は
スズランが制した99年阪神JF以来15年以上、
JRA・GI制覇から遠ざかっているが、当時、謙一は騎乗停止中で手綱を取れず、キネーンによるVだった。
「父とは中央のGIを獲ったことがないですしね。挑戦できる機会もなかなかあることじゃない。何とか一緒にGIを獲りたいですね。今、厩舎に勢いもあるし、それに乗っていきたい」。勝てば、
武豊以来史上2人目の3歳GI完全制覇も達成。懸命の手綱で、親子の悲願を実らせる。
提供:デイリースポーツ