第76回
オークスを制した
ミッキークイーンは25日午前1時、栗東・
池江泰寿厩舎に戻った。一夜明け、25日早朝は
オークスで激走したとは思えないほど、ゆったりノンビリとした様子で過ごしていた。
「とてもノンビリと落ち着いていますね。カイバ食いはいいほうではないので、完食とはいきませんがゆっくり食べています」と担当の斎藤助手は笑顔で答えた。
状態については、戦前から陣営はかなり自信をもっていた。
「パドックでもいつもよりグイグイと気合が入った様子で歩いていましたね。以前に比べてレースでの姿勢も成長していたので、いい勝負になるかな、とは思っていました」
レース当日で430キロと小柄な馬体だが、栗東出発時は436キロだったとのこと。「輸送もクリアして体重調整もうまくいった」のも勝因のひとつだ。
不安視されていたゲートもうまくいった。また、今回の
オークスは
クルミナルが枠入りに手間取ったため、奇数か偶数かも大きく命運を分けた。
「5枠10番。ちょうど真ん中のいいところでしたし、後入れの偶数番だったもよかったですね」
斎藤助手はゴールの瞬間は直線付近で見ていたそうだ。これまで池江厩舎でGIに参戦する馬も担当したが、「いままでこの仕事をしていて、初めて声が出た」という。「持って生まれたバネが違いますね。すごく柔らかい。かつ、性格はこのとおりノンビリしています」
そして、ウイニングランを迎えに行くとき、嬉しい反面「1頭で帰ってくるから、物見しないかと心配した」とそうだ。
ちなみに斎藤勲助手の父は
ダイワスカーレットを担当していた斎藤正敏元厩務員。父が
ダイワスカーレットで勝てなかった
オークスを息子が制覇したことを喜び、レース後すぐに連絡をくれたそうだ。
池江泰寿厩舎としても、
ディープインパクト産駒ではじめてのGI勝ち。父である池江泰郎元調教師の育てた名馬の子供での勝利でもあった。今年の
オークスは、いくつもの父子によるドラマが生まれたレースでもあったのだ。
(取材・写真:花岡貴子)